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しかし、NPO法人がこれから事業収入を強化すると、ますます企業との競合が問題として浮上してくることが予想される。

 

今回の調査に協力した463団体のうち、「介護保険の指定業者になれた、またはなることが可能となった」団体は、「問4」の結果から119団体(25.7%)であった。これらを含み、「問15」の結果によれば、本来事業が企業と競合している団体は228団体(49.2%)で、およそ半分である。

 

税の問題から見れば、企業と同様の事業をしていれば同様の課税を、ということにもなりかねない。そこでNPO法人に求められてくる重要な点は、企業や行政との「事業構造の違い」である。また、企業との競争が厳しくなっていくことから、「比較優位性」を明確にすることも必要である。

 

行政との関係では、平成12年3月の松山市の「市民活動モデル調査報告書」によれば、地方自治体がNPOへの業務委託で期待する点として、上位2つは「市民ニーズによりあったサービス向上がはかられる」(52.0%)、「行政だけではできないサービスができる」(49.0%)であるが、3番目に「コスト削減につながる」(35.9%)が入っている。

 

つまり、NPOに委託すれば「安くあがる」ということであろう。このことから、NPOが自らの事業について独自の価値観を訴えない限り、安さを求める価格競争に巻き込まれてしまう可能性がある。しかし、営利法人(企業)のような資本力がなく、営業力も弱いNPOが、価格だけで存在価値をアピールするのは危険と思われる。

 

今回の調査の「問16」の結果によれば、NPOが企業より優れている点は「利用者のニーズにより合ったサービス」(60.5%)を「利益を追求しないで」(44.7%)、「市民参加型」(39.9%)で提供できる点であると、NPO法人が答えている。

 

また、企業・行政との役割分担について聞いた「問22」への答えから、NPOの特徴は、「市民のニーズを市民が担う」「市民参加型」の活動で、「自発的」に「枠にとらわれず」「多様な価値観を」「先駆的に」「企業・行政にもできないきめ細かなサービス」を通して「ニーズにあった質の高い」活動を展開できることだということが明らかになった。

 

また、「企業や行政の下請でも、安価で便利で都合の良い肩代わり組織でもない」ことをNPO自身が訴えている。

 

 

 

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