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島:通産省の島と申します。個人的な見解ながら、今までの議論を聞かせていただいた中で、何か切り口があるかと考えたんですが、その一つは、逆に総論的に総合官庁という話ではなくて、既存の枠の中で分野ごとの協力ということが、行政機関の協力ということができないだろうかということをちょっと提案申し上げたいと思います。私ども通産省では深海底の鉱物資源開発ということを1975年からずっとやっていましたが、これは資源政策上これからも必要に応じてやっていく、継続はしておりますが、90年代に入って新たに新しい海洋の利用ということで、特に技術開発についても政策をいろいろ考えております。その中の一つとして、本年3月に海洋産業創造のための技術戦略というのを、これは実は上嶋部長にも委員としてご参加いただいて、第一報をとりまとめておりますが、これは関係省庁さんからのオブザーバー参加をいただいておりまして、ある意味でそういう面では関係する行政機関の協力というのはできつつあるんだと思います。今年度に第二報を続編として出す予定ではありますけれども、そういった各分野での積み上げということを増やしていって、総合的に海洋についての関係省庁の協力体制をつくっていくことが何かできればと思います。

 

寺島:ありがとうございました。それでは田村さん、お願いいたします。

 

田村:科学技術庁研究開発局海洋地球課の田村です。冒頭から各省庁の調整のメカニズムについてのご批判がありまして、実はご存知ないかもしれませんけれども、政府の調整メカニズムとして海洋開発審議会というのがございます。私どもはそこの事務局を担当する一方、政治調整の窓口も担当しております。そういう意味では、科学技術庁の調整が若干事務局として努力が足らないのかと反省しております。

構造的な問題を解説させていただきたいのと、今後の提言ということで2つ述べさせていただきたいのです。私ども、そういった議論を聞いていますと、例えば今自民党の議員から言われるのは、中国の不信船問題どうするんだと、深海底鉱物資源があったときにどう領有権を確保するのかということがあって、我々科学技術庁の行政範囲を越えており、最先端科学技術を創造していく行政部員なんで、海洋開発全般という意味では、自分の能力を超えた範囲の審議を事務局がやっているというので無理があります。これは全般的に日本の役所、例えば経済政策でありましたら、経済企画庁がやっていますとか、国土保全政策だったら、国土庁が全部総合調整やっているんですけれども、現場を抱えた省庁と、そういう審議会のボードを持っているところは逆転していまして、大体力の弱いところが審議会のボードを持っている、という構造があります。そのため、現場の情報に極めて上がりにくくなって、その問題について日常的に議論し、対応するケースが少ないという問題がある。これやっぱり自分の所管、設置法の枠に縛られると、そういう問題をなかなか心配しにくいということがあってですね。

一つ、これは提言ですが、今どっちかというと、総理府がそういった内政審議室とか、そういったところで議論をされておりますけれども、今度やはり内閣府とか内閣官房が強化されるということで、私たちが意見する以上に日常的に意識をしていただくような、スムーズな政策流通経路といいますか、そういったことがやっぱりこれから求められるんではないかなと。

 

 

 

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