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ですから、そういう面からすると、国民的レベルで物を考えられないという、残念ながらそういう民族だとしたときに、先ほども言いましたけれども、もうちょっと中立的にシンクタンクというか、そういう場で母体なりが、これは多屋先生と同じなんですが、大局的にロングタームの問題を考えるような場が必要であると思うんです。そのときに省庁の人も招いて、徹底的に自分の利、そこの主張を言ってもらいたいんです。そこでオブラードにくるんで言うと、最終的な判断が迷うので、そこのところはきちんと言っていただいて、ただし、その上に本当によき方向というのはどうなのかというコンセンサスをつくるような努力を、これは非常に多面的にやるようなシステムにしていかない限り駄目であろうと思います。もう我々には残された時間があまりないのではないかと、先ほど瀬戸内海の話が出ましたけれども、沿岸域が疲弊状態にあると私は少なくとも思っていますので、もう少し具体的なところを取り組んでいけたらと思います。

国際問題も同じだと思うんで、それぞれの沿岸で協調しなさいといった言葉は僕は非常に良いと思うんです。というのは、人の国のために働く人はいないんです。やっぱり自分が儲かるかどうか、それが最初で最後ですよね。漁師の人もそうですし、船に乗っている人は自分が安全に石油を運べるかどうか、それが最初で最後なんです。それはもちろんそういうことはきちんと言って、ただし、そういうことをみんなが言うと、海から魚が全然いなくなってしまうという話は、要するにタイタニック号の話になってしまいますので、そういう段階にまで議論が入っていくと、やがておのずからコンセンサスというのか、あるレベルというのは当然出てくると思うんです。そこに行くまでに議論をして、広く多くの人にわかっていただくというような努力をしないと駄目だろうと思います。

ですから、省庁の上にまた省庁をつくっても、これは事務連絡の会議のお触れがたくさん来るだけの話で、何も進まないんではないかと思います。

 

寺島:ありがとうございました。だんだん白熱してきました。それじゃ、小笹さん、よろしくお願いいたします。

 

小笹:私は何度かNOAAにもお伺いしたことがありまして、日本とアメリカのどこが違うのかということを考えてみたことがあるんですが、先ほどイーラーさんがNOAAの役割として情報を整理して科学的に集めて、それを公開することによって、例えばいろいろな政策決定に役立つさせる、ということをおっしゃったと思いますが、日本はいわゆる情報をきちんと整理してデータベースを作るといった、そういうことはかなり遅れているのではないかと思います。例えば以前、NOAAの方からNOAAの衛星で撮影したいろいろな写真を分析した、様々な沿岸の情報というのを見せていただいたことがあるんですが、科学的なデータはもちろん、社会、経済的なデータといったことにもう少し力を入れていく必要があるんじゃないかなと、そういうふうに考えております。

 

寺島:ありがとうございました。荏原先生、よろしくお願いします。

 

 

 

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