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ブラジルでも割とうまくいっていると思います。それからほかの国でもうまくいっている例があると思います。恐らくこれは海洋省というのをあえて設けるよりもうまくいっている例であります。やはり1つの答えでどんなケースでも対応できるということは違うと思います。それぞれの国によってベストな解決法というのが当然違ってくるのではないでしょうか。

 

寺島:ありがとうございました。それに関連して一つお伺いしたいのですが、インターミニステェリアルな組織というのは、どこか海を所管している官庁が主になってやっているんでしょうか、それとももっと独立の組織、調整機構ということになっているんでしょうか。

 

ボルゲーゼ:例えば、1つさっき上げたのですけれども、首相が、総理大臣が調整役をしているというケースもあるんです。カナダでは主官庁としてリード・エージェンシーというのがあるんですけれども、どうもうまくいっていなくて、ちょっと趣旨がゆがめられているところがあると思います。よく批判も浴びています。恐らく国によっては首相あるいは総理のレベルでコディネーションをして非常にうまくいっているという例があるんではないでしょうか。

 

寺島:ありがとうございました。

 

イーラー:アメリカで非常にうまくいっているのは、海洋政策で副大統領が積極的に関与しているところがあるからだと思うんです。つまり、このストラッテン委員会のときの報告にさかのぼるんですけれども、フーバート・ハンフリーが副大統領のときでした。彼が省庁間で議長を務めて、海洋政策立案を進めたんです。やはりそういう政治的な権威があるというのは大事だと思います。そうしますと、何か実現したり変化を起こすのは非常に重要だと思います。それから、もう一つ、新たな側面にちょっと触れてみたいと思うんですけれども、それはどこかの制度、あるいは海洋省でもいいし、あるいはほかのいくつかの海洋に関するいろんな側面を担当するところでもどこでもいいんですけれども、やはり意思決定のための情報をうまくつくってあげるということだと思いますね。持ち上げるということだと思います。省庁機関をつくって、コーディネーションの組織を何かつくったとしても、情報が上に上がっていかなければ、いい意思決定はできません。非公式の権限をいろいろあげたとして、その場合には政策決定にかかわる必要なサイエンスにベースを置いた、科学的なきちんとした情報を上げる、適切な形で吸い上げられるようにするということが非常に重要だと思います。そしてそういうメカニズムとか、何か人なりなんなりをつくって意思決定をうまくまとめていくための仕組みが必要だと思います。

 

寺島:多屋先生、お願いします。

 

多屋:今、部局間の調整の話が出てきましたけれども、日本とアメリカ、ヨーロッパとを比べますと、部局間調整の問題もあるのですが、それよりももっと重大な問題がありまして、全国民の利益をどれが一番重大な利益かどうか判断する、判断する主体が日本の場合はなかったと思うのです。

 

 

 

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