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実際、最近多くの省庁や団体がいろんなセミナーやシンポジウムなどの広報努力を続けていらっしゃって、それも本当に素晴らしい状況だと思うんですけれども、ただ欲を言えば、現在各方面で行われている、これらの非常に地道な努力というのが、それぞれの省庁や団体で別々に行われていますので、これらの努力を何とか大結集できないかと、考えております。別に大政翼賛的なことを言うわけではないのですが、各省庁及び団体で別々に行っていても、大きな力は出ないし、社会に向かって強くアピールすることは出来ないと思うのです。

 

寺島:ありがとうございました。私が朝日新聞に出しましたのは、ちょうど省庁再編のときで、そういう大事な時期なのに、海のことがあんまりそういう中で論じられていないということが非常に残念なので、一石を投じるという意味で書かせていただいたわけなんですが。それでは黒澤さん、よろしくお願いします。

 

黒澤:水産庁国際課の黒澤でございます。まず最初に私の担当をお話ししますと、私は国連海法条約、国連公海漁業協定、フラッギング協定等に携わっております。今栗林先生のほうから、国連海洋法条約を具現化する仕組みが不足しており、例えば、漁業の分野で特に公海で具体的な国際的な管理の枠組みの構築等の協力関係を強める必要があること及び、協力しない所謂非加盟国対策が課題であるとご指摘がありました。私もまさにそうだと思います。その辺について少し説明させていただきたいと思います。まず国連海洋法条約のあとに、実は95年に国連公海漁業協定が採択されました。この協定は課題もあることから我が国はいまも批准しておりませんが、この条約はいわゆる今栗林先生が言われたような、国連海洋法条約における高度回遊性魚種等の管理の考え方を具体化したものとなっております。ところがあんまりにも詳細に明記してまた漁業に関する科学技術の進歩にその規定があわなくなっていたり、実際の漁業に適用するには、困難が伴う規定があるということが課題となっております。個人的には条約の規定は、大きな枠組みとし、後は条約下で適宜、規定を設定又は修正していくのが望ましいと考えます。

もう一つ非加盟国対策という話が上がりました。漁業資源の管理は、その資源を利用するすべての国の協力が必要です。その意味では、非加盟国がおこす国際的枠組みの外での操業は、大きな問題となっております。ただし、漁業大国であるチャイニーズ・タイペイは、国連関係協定には、加盟したくても、できないというジレンマもあります。これらの国等もこれからどういうふうに条約の中に組み込んでいくのか、というのが今後の大きな課題だと思います。

 

寺島:ありがとうございました。村上先生、お願いいたします。

 

村上:海上保安大学校の村上でございます。イーラー先生に1点お伺いできればということで質問をさせていただきたいと思います。アメリカにおきましては、例えば農務省があり、商務省があり、様々な役所があって、他方日本においても、先ほどから通産省、水産庁、あるいはその他の省庁、いろいろな縦割りの役所が海洋の問題を取り扱う際の一つのネックになっている、あるいは問題点なんだというご指摘についてなのですが、元々いろいろな事務分掌を各役所が持っておりまして、これを調整する、全体を総合するということになれば、日本で言えば首相の問題であり、アメリカで言えば、恐らく大統領の問題になってくると思います。

 

 

 

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