日本財団 図書館


ですから、正式な教育プログラムとして沿岸管理のような研究訓練、研究が行われるようになってきております。

もう一つ申し上げたいことがありますけれども、しかし単に、大学または学校教育を越えた形で考えなければいけないと思いますよ。やはりテクニシャン(専門技術者)を訓練することが必要だと思うんです。沿岸管理をきちんと対応できるようなテクニシャンが必要です。このテクニシャンというのは何も学位がなくてもいいと思うんです。学位がなくても問題に対して効果的に対処することができると思います。そういうわけで、学校教育以外のところで訓練をする機会を考えておくことが必要だと思います。日本だけでなく、アメリカでもそのような機会は必要だと考えております。

 

寺島:ありがとうございました。ボルゲーゼさんから再度発言の要請がありましたので、お願いいたします。

 

ボルゲーゼ:やはり総合ということが必要だと思います。また、国内の政策を整合化させていくことが必要だと思います。カナダにおいては、主官庁が、漁業海洋省というのがあります。これは外務省ではありません。漁業海洋省が責任を持っていますけれども、しかし、あまりにも国内問題にばっかり焦点を当てているために政策がゆがめられています。特に漁業となると、国内だけではないわけですね。国内と国際の要素が入ってきますので、これを合体させることが必要だと思っております。やはりこのこと、すなわち国内と国際のリンクを考えることが必要だと思います。カナダとアメリカでも同じような状態と思います。NOAAはどうしても国内的ではないですか。沿岸管理というのもどうしても国内思考になっていませんか。ですから、そういう意味で国際と国内の問題のリンクが少なくなっていると思います。だから、やるべきことはたくさんありますね。やはり国内と国際をつなげるという意味において、やるべきことがたくさんあると思っております。

 

寺島:お話を伺っていると、いろいろとどんどん出てきそうな感じでございます。質問も若干まだいただいておるんですが、時間も押してきておりますので、直接のまとめての質疑はこの辺にさせていただきまして、あと討論の中でまた随時お二人の講師の方にもご発言いただきたいと思います。それでは、残り時間がまとめまで入れて1時間ですので、あと50分ぐらいということで討論を始めたいと思います。どなたかから口火を切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。停滞したときにはガイド役ということで栗林先生、いかがでございましょうか。

 

栗林:私がお話ししたいことは、先ほどボルゲーゼ女史が盛んに強調しておられました協力ということであります。女史も最初に言われておりましたように、「国連海洋法条約というのは、非常に政治的に妥協の部分が多くて、極めて矛盾した、整合性のないものである」ということは確かにそうでありまして、多くの規定にはそのような性質のものが見られます。特に私は「協力」ということについて、国連海洋法条約の中でかなり暖昧な部分として2つ上げたいと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION