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そういう意味において、死は悲しいだけではない。寂しいけれども、死は本当に生きることの裏返しである。そして『終わりよければすべてよし』というシェイクスピアの劇のように、終わりをよくすることを考える。終わりの日はいつくるかわからないから、いつも終わりに備えよう。今から1000年以上前に「若いときから終わりを考えよう」とレオナルド・ダ・ヴィンチが若者に言いました。そのことを覚えてほしいと思います。

どうも皆さん、ありがとうございました。

 

司会 日野原さん、ありがとうございました。

 

司会 つづきましてのご講演は、エッセイスト、遠藤順子さんにお願いいたします。

遠藤さんは、慶應義塾大学仏文学科在学中に作家遠藤周作氏と出会われ、1955年にご結婚されました。

ご承知のとおり、遠藤周作氏は、信仰という重いテーマを追求される一方、狐狸庵先生としてユーモア小説、エッセイでも親しまれ、1996年、故人となれらたあともいまだに長く国民的な人気作家でいらっしゃいます。その奥様でいらっしゃいます遠藤さんが、周作氏没後の翌々年、1998年に著された『夫の宿題』というエッセイは、長期の療養看病から看取りに至る経過を中心にまとめられたもので、発行後、たちまちベストセラーとなり、またテレビドラマとなって、周作氏役を竹中直人さん、順子さん役を竹下景子さんが演じられたことは記憶に新しいことです。

そして、宿題の進捗状況を綴った『再会 夫の宿題 それから』を今年1月に出版され、再び好評を博していらっしゃいます。

本日は、周作氏生前よりのスローガンである「『心あたたかな医療』を求めて」と題しまして、ご講演をいただきます。

それでは遠藤さん、よろしくお願いいたします。

 

講演2.「『心あたたかな医療』を求めて」

エッセイスト 遠藤順子さん

 

皆様、今日はよくいらしてくださいました。浜松へまいりまして、浜名湖のところへまいりまして、私はとても一つ懐かしい思い出を思いだしました。夏によく東京から午後の1時ごろに出ますと3時半ごろに浜名湖に着きます。それでもう夕暮れがそろそろ始まったかなという浜名湖を4時ぐらいまで見て、それからソレッて、また車に乗って、乗り継いでいきますと、大津でまた琵琶湖の夕焼けが見えましてね、夏、京都へ車で東京から行くときには、いつでも2回夕日を楽しめて、主人といつでもその2回の夕日を楽しんだのを思いだしました。

主人は、1982年というとちょうど今から20年前になります。そのころにまだまだホスピスとか、緩和ケアとか、在宅介護とかいう言葉もまだない時分に、読売新聞にお願いして、「患者からのささやかな願い」という題で6回、連載をさせていただいたのです。

 

 

 

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