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堂園 私のところに来る患者さんは、平均3カ月で亡くなられます。で、私のところに相談に来られる方はほとんどが最初はご家族の方です。で、告知をなされている患者さんが約4〜5割です。半分の方は告知がされておりません。

で、私の診療所は癌の患者さんだけではなくていろんな風邪の患者さんとかいろんな方も診てますけども、アンケートをします、「もしあなたが癌だったら言ってほしいですか、どうですか」、それから「再発したら知りたいですか」とか、「ものが食べれなくなったら点滴栄養で生きたいですか」とか、質問がいろいろありまして、意識がなくなったら点滴栄養をやめてほしいとか、点滴で生きたくないとか、そういうふうな約20項目ぐらいのアンケートがございます。そのアンケートをしていただいて、それで自分は癌と知りたいという方には 100%きちっと伝えております。癌と知りたくないという方には伝えておりません。

ところが、「私は癌ですか?」と聞いたときには必ず答えるようにしています。今までの統計ですと、約 200人ぐらいの方をここ2年半ぐらいで診ておりましたけども、92%の方が「自分の病気のことは自分でしっかり知りたい」というふうに答えられています。

で、ご家族の方に最初にアンケートをして、「知りたい方にはお伝えしますよ」というふうにお話ししますと、「うちの父は気が弱いから」とかなんとかいう方がいて、そして基本的に伝える方針ということを伝えますと、一回相談に来られて、「うちの父は無理だから」「うちの母は無理だから」と言って来られない方も3%ぐらいおられます。

 

永石 同じ木場田さん、ホスピスの病院で働かれている立場から、そういう告知を受けられている方と受けられてない方みたいなことで、看護をされている立場から、入院生活が変わるとか、そういうものというのはございますか。

 

木場田 入院の前提としまして、必ず面談を受けていただきます。けれども、私どものホスピスは告知してあることが入院の前提ではありません。また、私自身、告知というものは病名がすべてではなくて、病状を患者さんご自身がどうとらえているのかということを理解したうえで、その考えを発展させていく役割が私たちであるように考えています。

ですから、病名を知らなくても、入ってこられてからご自分で変化を感じられて口に出されるというなかで、コミュニケーションが発展していって、ご自分で認識されていくという方は多いです。

 

 

 

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