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デーケン まず、堂園先生は、とても私は感激したのは、もともと婦人科の先生として、そういうような今、ターミナルケアをなさっている、末期医療をなさっている。私はずっと前から、末期医療、ターミナルケアに携わる人は、ある意味で助産術と似ているのではないかと思っていました。それは、結局は人間というものは生まれるときはとても人間的なあたたかさが必要ですけれども、同じようにまた死に直面しているときは心のあたたかさ、あるいは今遠藤さんがおっしゃったとおり、心あたたかい医療が必要だと、そういうイメージは私はずっと前から末期医療で使ってもいいんじゃないかと思っていました。

で、木場田さんは、本当にそういう体験に基づいて、病院のなかの患者の疼痛緩和とか、あるいは悩んでいる状態を見て、そこを出発点としてホスピスで働くようになったということは、とてもすばらしいと思います。私は熊本で木場田さんが働いているみこころホスピスを見たこともありますし、ほんとにそこはいつも一杯だそうですね。ですから、熊本の市民はそういうホスピスに対する理解はとても深くて、家族もとても協力していると感じました。私はじつは、木場田さんのホスピスの中を回って一人の患者さんから聞いたんです、私、初めての体験です。「じつはこの間、私は、葬儀屋さんを呼んで、自分の葬儀の準備をちゃんとしました」と言いました。私は日本で初めて聞きました。私は、とてもあたたかい家庭的な雰囲気だと熊本で感じました。

遠藤さんは、私もご主人と毎月のように研究会をいっしょにやったときは、とても遠藤周作さんは日本に各県で一つずつのホスピスをつくりましょうという運動もおやりになりました。私もいっしょにテレビに出たりしましたが。何よりもご主人にいつも感激したのは、まじめなことはすごくまじめ、たとえば『沈黙』のように、『海と毒薬』のようなテーマをすごくまじめに取り扱って、しかし会うたびにみんなを笑わせる、おもしろいこともおっしゃったということは、これはほんとにホスピス的なケアのための貴重な態度じゃないかと思いました、そのまじめさとユーモアをあわせたということですね。

私も『夫の宿題』という本を拝見しましたときは、ほんとに今の奥さんも亡くなった主人から宿題というものを受けたということもとてもすばらしいイメージじゃないかと思います。ありがとうございました。

 

永石 ありがとうございました。

それでは次に移りたいと思います。堂園さん、木場田さん、患者さんの死ということに向き合う現場に業務されていまして、そういう方を多数見られているなかから、今日のテーマであります生と死ということについては、一般の方以上にお考えになっている部分があるんじゃないかと思いますけれども、まずその生と死ということについて、どのようにお考えになっているのか、お考えを聞かせていただけますか。

 

 

 

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