まずそのときにマザー・テレサが「親に育てられるのがいちばんいい」という文章を読みまして、子どもさんをほしがっている方にご紹介をするボランティアですけれども、そういうなかで、望まれなくて生まれてくる子どもさんの誕生に立合い、それから亡くなっていく死というものに立ち合うなかで、生と死というものを直接的に両方タッチしている立場だと思います。その経験を今日、皆さんに少しでもお伝えできればと思って参加させていただきました。
永石 ありがとうございました。
続きまして、木場田さん、お願いします。
木場田 私のホスピスへの関心の根本といいますのは、学生時代に、末期癌の患者さんを担当させていただいたことによります。当時、痛みがあっても、その痛みを取る方法というのは限られていましたし、学生にとってはそばにいなきゃいけないんだけども、いづらい。でも、どうにかしてほしいんだけれども、お薬はもらえないといったような状況で、患者さんとともに、お薬をもらえる時間を待つというのは非常につらいものでした。
そのなかで何かできることはないかなといろいろ考えて、マッサージですとか、ちょっと体が楽になるようにとクッションを置いてみたりと、いろんなことを試みました。効果のほどは専門的にはまだ未熟ですので定かではありませんでしたが、実習を終えるときに患者さんが「あなたの気持ちは伝わったよ。ありがとう。あたたかかったよ」とおっしゃってくださったんですね。そのときに、まだ技術的には未熟かもしれないけれども、自分には何かしら一人の人間としてお手伝いできることがあるんじゃないかっていうふうに考えまして、「看護の手」というもので自分の看護観を持ちました。
そして卒業しまして、一般病院に就職しましたけれども、そこでは看護婦として多くのものを学ばせていただきました。けれども、当時の病院は、救急とか、急性期の治療というものを主体にしたところでしたので、自分が考えるほど末期の方のそばにいるということはなかなかできずに、ジレンマに陥っていました。
ちょうどそのころ、現場の上司のほうから、もう一度看護観というものを見つめ直しましょうということで、考える機会をいただきまして、最初に看護婦になりましたときの自分の看護観と今の現場というもののギャップに気づきました。そこで、みこころホスピスが承認施設としてこれから公に取り組みを行っていくということを聞きましたので、自分も始めるならば一から始めるところに身を置いて働いてみたいと考えて、ホスピスに移った次第です。