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57]緊急時の心理過程と歩行モデルによる避難行動の解析

福地信義(九大)、小山清文(日立造船)、篠田岳思(九大)

緊急時の心理過程などの人的要因を考慮した避難行動の的確な予測を行うことが必要である。このために、個人の特性に対応し、視野距離と障害物の回避判断を考慮した歩行モデルと、緊急時の思考遮断状態の生起を表現する心理情報の処理過程を模した数理モデルを組み合わせた避難モデルをを構築した。この避難モデルにより、客船における避難行動の数値シミュレーションを行い、避難安全システム設計において人的要因を考慮することの重要性を明らかにした。

 

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58]船舶災害時における避難解析手法について(第2報、避難誘導による避難行動について)

戴暁旬、金湖富士夫(船研)

災害が発生する時、避難者の所在する空間などによって災害状況を検出、認識する時期や成否の違いのため、避難の成功に大きな違いが出ることが予想される。そのため、それらの人に避難開始を誘導することにより、災害状況を認識させたり、避難させたりすることは必要だと思われる。本研究では、前報で開発した避難者モデルに加え、新たに図に示すような避難開始誘導モデルを導入した。避難者は自ら災害状況を認識できる場合は、現状認識、避難実行を行い、自ら認識できない場合は、避難開始誘導モデルにより、避難開始の誘導を受ける。避難開始誘導モデルは、乗組員が火災探知装置の動作による警報を受け、火災状況を確認し、各デッキの避難者の避難開始の時期を判断し、避難開始を誘導する段階を考慮したものである。

 

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人間モデル

 

59]船舶の確率論的安全評価手法 ―その2:FSA実現のためのリスク評価の方法論―

金湖富士夫、太田進、戴暁旬、福元正明(船研)

海難時に生じる火災、浸水等の進展、および避難等のシミュレーションを行い、人命損失数を求めることにより、リスク制御手段によるリスクの変化を求める手法、およびシステムを開発し、これらを適用して、スプリンクラの設置による旅客船のリスク削減効果を推定した。この手法は、恣意性を排除するために有効な手法であるが、リスク制御手段が事故発生、災害進展、および避難へ与える影響を詳細にモデル化することが求められるため、現実に適用するためには災害進展シナリオの数の削減方法の開発、プログラムの検証等がさらに必要である。

 

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60]避難シミュレーションによる避難経路の評価に関する研究

村山雅己、板垣恒男、吉田公一(艤装研)

船舶や海洋構造物において総員退船を必要とする緊急避難が必要となった場合、大きな混雑や誘導ミスが発生することなく避難できるように避難経路を設計しておくことは重要である。

本研究では、船舶の設計段階における避難経路の評価に使用することを目的とし、群体移動モデルによる避難シミュレーションプログラムの有効性を、約400人規模で行われた一万トン内航旅客フェリーでの避難実験との比較により検討した。その結果、避難者の集合場所へ流入状況、避難終了時間、渋滞の発生等の傾向把握が可能であることを示した。

 

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Number of persons arrived to port side assembly station (Comparison of results between evacuation trial and simulation)

 

 

 

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