49]残留応力を有する部材の脆性破壊強度評価へのローカルアプローチの適用 ―予荷重による圧縮残留応力の影響の評価―
山下洋一(IHI)、阪野賢治(IHI)、南二三吉(阪大)、小野塚正一(IHI)
構造用鋼の脆性破壊強度に及ぼす残留応力の影響の評価に対するローカルアプローチの有効性の検討のため予荷重による圧縮残留応力の影響を評価した。予荷重の存在により、低温における脆性破壊強度が予荷重がない場合と比較して上昇した。Weibull応力を破壊指標とするローカルアプローチにより、予荷重による強度上昇を精度よく評価できることを示した。

ローカルアプローチによる予荷重の影響の評価
50]浅いV切欠きをもつ大型構造要素の脆性破壊強度評価へのローカルアプローチの適用 ―破壊制御設計へのローカルアプローチの展開(第5報)―
南二三吉、大畑充、長尾亮(阪大)
ローカルアプローチを適用して、脆性破壊発生時の限界ワイブル応力は試験片の形状・寸法に依存しないという考えの下に、破壊靱性試験結果から浅いV切欠きをもつ箱形断面実大試験体の破壊性能を予測した。それによると、従来の破壊力学的手法の適用が困難な応力集中部からの脆性破壊に対しても破壊評価が可能となることが示された。

箱形断面実大試験体の破壊性能の予測
51]鋼材の延性亀裂発生特性に及ぼす応力三軸度と歪速度の影響
島貫広志、古谷仁志、井上健裕、萩原行人(新日鐵)、豊田政男(阪大)
本研究では負荷速度を変化させた円周切欠付き丸棒試験を行い、動的負荷時の試験片内部の応力三軸度や相当塑性歪を降伏応力に及ぼす歪速度と温度の影響を考慮した熱応力連成解析を用いて解析した。この結果を動的負荷時の延性亀裂発生限界歪は静的負荷と差がないこと、ただし、同一変位による負荷を与えた場合動的負荷の方が破壊しにくく、この傾向は降伏比が高いほど大きいことを示した。

延性亀裂発生限界歪の応力三軸度依存性に及ぼす負荷速度の影響
52]破壊靭性試験における試験片寸法の標準化に関する一考察
田川哲哉(名大)、Carlos E. Chaves(東大)、楊宏凱(名大)、吉成仁志(東大)、宮田隆司(名大)
き裂先端の降伏規模(拘束緩和)と応力場の変化を記述したToughness Scaling Modelに基づき、靭性試験片寸法要件がASTMに規格化されたが、本研究ではこれにWeibull応力論を導入した新たなモデルを提案し、その有効性を検討した。提案したモデルでは材料の硬化指数nばかりでなく破壊強度のWeibull形状係数mが試験片寸法要件に強く影響を及ぼすため、過去の実験結果を基に実鋼材のnとmの値を検討した。その結果、試験片平面寸法要件は現在のASTM規格の半分程度にまで緩和できることが示唆された。

Fig. Specimen size requirement factor, M in JLSY/JSSY=1.2.
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