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45]縮小付加質量マトリクスにおける回転ベクトルの影響に関する研究 ―数値解析を援用した回転ベクトル推定法の利用―

林茂弘(阪大)、木曽孝(川崎重工)、満島誠(三菱重工)、鷹見賢司(阪大)

縮小付加質量マトリクスを用いたモーダル構造変更解析を実施する上で、回転成分を考慮に入れるとより良い精度で解析が可能になる。従来は、剛体結合を用いた手法により回転ベクトルを抽出していたが、幾つかの問題点が指摘されていた。これらの問題点を解決すべく新しい手法としてMCE法(モード重量法)を採用し、その実用性を模型船により確認した。

また、本研究では実船実験データを用いて洋上から岸壁での固有振動数の推定を行った。その結果、下に示すように良い精度で予測できることが判った。

 

岸壁における固有振動数と推定結果の比較

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46]船舶の振動レベル推定に関する基礎的研究 ―水中同時曲線適合手法の開発―

林茂弘(阪大)、古池健太(サノヤス)、石田勝己(阪大大学院)

水深による影響を総合的に評価するためのパラメータとして速度分布修正係数βwを導入し、水中での振動現象の再現を試みる。そこで、伝達関数の感度項を定式化して、偏分反復法による曲線適合を行い、βwを決定した。本論文では従来とは異なり、実船での実験環境を考慮して、一切空中のデータを使用せず、水深の異なる実験データのみを用いた。

 

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加振点応答についての深水域伝達関数の実験値とカーブフィット値の比較(上下方向成分)

 

47]多段階最適化手法による防撓板構造物の振動特性の最適変更法に関する研究

朴成鉱鉉、香川洸二、安澤幸隆(九大)

船体構造を構成する矩形防撓板を解析モデルとして、防撓板の振動特性の変更と重量の軽減に多段階最適化手法を適用した。

また、防撓板構造物の振動特性を調べ、いくつかの主要な振動モードに着目して、そのモードの固有振動数を簡易計算式を求めた。その簡易式を用いた多段階最適化手法を、防撓板構造物の振動特性の変更に適用して、その手法の有効性を検討した。簡易式を用いた最適変更の簡略計算法は初期振動設計に容易に利用できることがわかった。防撓板のいくつかの主要な振動モードに着目して、そのモードの固有振動数を調整することで、その他のモードの固有振動数の調整をできることがわかった。

 

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48]粒状貨物による艙内圧の実験的検討

田中義照、佐久間正明、安藤孝弘(船舶技研)

粒状貨物による艙内圧の研究は、1970年前後に多く実施され、実船計測、模型実験、あるいは、理論解析が行われた。模型実験における圧力計測には主に土圧計が用いられたが、計測結果は取付け部の剛性によって計測値が変化する等の問題があった。そこで、本研究では防撓材付きタンク模型を製作し、パネル部に生じる曲げひずみを圧力に換算する方法を採用した。この模型に乾燥砂を搭載し、粒状貨物圧計測実験を行い、静的圧力および加速度を受ける場合の慣性力による変動圧を計測した。また、Janssenの理論に基づく粒状貨物圧推定法を提案し、実験結果、および、他の推定法等による計算値と比較・検討し、その妥当性を検証した。

 

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粒状貨物による変動圧推定値と計測値の比較

(水平方向加速度を受ける場合)

 

 

 

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