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13]船体動揺パラメータのオンライン推定について

井関俊夫、大津皓平(東京商船大)

IIRフィルタとCARモデルを用いた連続時間系システムの直接同定法を船体の横揺れ運動方程式に適用し、横揺れ減衰比と固有周波数のオンライン推定を試みた。また、模型実験と実船実験を行い、推定精度の検証を行うとともに、離散時間系の間接同定法の推定結果とも比較した。長波頂不規則波中の横揺れ減衰比の推定では、直接同定法の推定結果は激しく変化するものの、その最大値に注目すれば間接同定法よりも良好な推定結果が得られていることがわかった。

 

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長波頂不規則波中の横揺れ減衰比の推定結果

 

14]波浪中抵抗増加に及ぼすキール影響(英文)

マルコス・デ・パライバ・カンポス(IHI研修生、研究当時横浜国大大学院)、平山次清(横浜国大)

帆走ヨットの平水中速度性能は極限まで追求されつつあるが、波浪中の性能については詳細が明らかになっているとは言い難い。著者らは特にACクラスのヨットモデルの波浪中抵抗増加を運動自由で実験的に計測する新しい手法を提案しているが、本研究ではその手法を使用して波浪中抵抗増加とキールの関係を調べた。即ちフィンキールの場合と揚力を生じない円柱キールの場合を比較しフィンキールが抵抗増加を増大させている可能性を明らかにした。

 

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比較用キール形状

 

15]波浪中抵抗増加の確率密度分布 ―長期波浪データ及び船型による違い―

平山次清(横国大)、萱嶋孝一(三井造船)、崔龍虎(横国大大学院)、汪学鋒(元横国大大学院)

波浪中抵抗増加(平均値)の長期特性は船舶就航時の性能保証の要求に応えるための要素として重要である。本論文では、波浪中抵抗増加の分布について検討を行った結果対数正規分布になること及び波浪データによる違い、船型による違いを明らかにした。

 

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波浪中抵抗増加確率密度分布(船型比較)

 

16]二段滑台を用いた自由落下式救命艇の進水について

荒井誠、岡崎一成(横浜国大)、上村伸一(コマツ)

自由落下式救命艇の新しい進水方法として二段滑台方式を提案し、全長1m及び6mの模型艇を用いた模型実験と数値解析により新方式の有効性を調べた。その結果、二段滑台方式が自由落下式救命艇の着水運動を改善する手段として極めて有効であること、母船が横傾斜した場合においても問題なく機能することを確認した。また、二段滑台方式では母船の甲板上で救命艇の自由落下がスタートするため、母船が船首トリム状態の場合に注意する必要があることが分かった。

 

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着水運動の比較

 

 

 

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