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5]トランスキャビテーティング・プロペラの理論的設計に関する研究

工藤達郎、右近良孝(船研)、加藤洋治(東洋大)

トランスキャビテーティング・プロペラ(TCP)の理論的設計法を開発し、実際に設計した8個のTCPについて模型試験により性能を確認した。その結果、推力は概ね±5%の精度で設計可能であり、キャビテーション条件の厳しい35ノット高速船用の浅没水高荷重可変ピッチプロペラでも65%近い高い効率(同条件下の通常型プロペラに比して12.3%増)のTCPが設計可能であることを示した。一方、通常型プロペラに適用可能な試験法や製作法も、TCPに対してはキャビテーション・パターンの妥当性やNCデータの作成法などに問題が生ずることなどを明らかにした。

 

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設計されたTCPの翼形状

 

6]トランスキャビテーティング・プロペラの性能評価

右近良孝、工藤達郎、藤沢純一、松田登(船研)

浅没水高荷重可変ピッチプロペラ用に設計された通常型プロペラ(CP)とトランスキャビテーティング・プロペラ(TCP)についてキャビテーション試験により性能を評価した。推力低下を起こしたプロペラの効率決定法を提案した。この方法に基づき、船速30ノット及びキャビテーション条件の厳しい35ノットの場合にも、高い効率のTCPが設計可能であることを確かめた。しかしながら、船尾変動圧力とエロージョンに注意を払う必要がある。

 

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設計されたプロペラの効率の比較

 

7]バブルキャビテーション時の翼型性能推定

豊田真(IHI)、加藤洋治(東洋大)、山口一(東大)

従来、激しいバブルキャビテーションが発生している時の翼性能は、理論で予測する事ができなかった。本研究では、新しく気泡の成長崩壊方程式を用いたバブルキャビテーション時の翼型性能の理論予測法の開発を行なった。この理論を用いて、バブルキャビテーション時の翼型性能予測を行い、キャビテーションタンネルにおける2次元翼の実験結果と比較して、新手法の有用性を確認した。

 

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揚力係数と迎角の関係(BC Theoryと示されている一点鎖線の部分が新しく予測できるようになった範囲)

 

8]スーパーキャビテーション翼型のシリーズ設計

豊田真(IHI)、加藤洋治(東洋大)、山口一(東大)

最適化法を用いたスーパーキャビテーション翼型の設計手法を開発した。この手法を用いて、プロペラ設計の際に最適な翼断面を簡単に選定できるようなシリーズ翼型を、種々の設計条件(キャビテーション数、揚力係数)で設計し、これらの翼型の形状、翼型性能を多項式近似した。この多項式を用いることによって、設計パラメータから、翼形状と翼型性能を見積もることができる。このシリーズ翼型を用いて、実際に模型プロペラが設計、製作され、高い効率が得られている。

 

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設計されたシリーズ翼型形状

 

 

 

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