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Committee on Environmental Modelling

経塚雄策(九大)

 

この委員会のメンバーはG. F. Clauss (ドイツ、Chai?an)、P. Crossland (イギリス、Secretary) C. G. Soares (ポルトガル)、S. W. Hong (韓国)、R. Kishev (ブルガリア)、C. T. Stansberg (ノルウェー)、経塚(九大)の7名で構成された。

この他、専門委員としてD. L. Kriebel (アメリカ)、およびJ. Wolfram (イギリス)の2名が実作業に加わった。

この委員会に対する前期ITTCからの勧告は、

(1) 他機関による研究のレビューおよび波、風、潮流の発生法などについて勧告せよ。

(2) 波の観測値と数値モデルの計算値を時刻歴のレベルで比較、評価せよ。

(3) 実海域のモデリングに関する質的な評価とそれに含まれる不確かさについて評価せよ。

の3点であった。

これに従って、計4回の会合を持ち、以下の項目で分担作業を行った。

・波、流れ、風の実データ特性と水槽での発生法

・水槽試験で用いられる波の評価

・波の不確かさ評価

一般的な技術上の結論は、以下である。

・最近の観測結果によれば、不規則波のスペクトルは高周波数域での減衰が周波数の−5乗よりは−4乗であり、双頭型のスペクトルや有義値の2倍以上の極大波もしばしば観測されている。

・リモートセンシングによる観測データの活用を拡大すべきである。

・波と流れの干渉に関する研究は浅海域におけるものがほとんどで、大水深域での文献は少ない。

・深海域での大波高波は概ね2次理論によって説明できるが、波形の非対称性は説明できない。

・大波高過渡水波は極大波の発生についても有効である。

・水槽実験における風と流れの特性およびそれらの発生法に関する報告は極めて少ない。

・3次元波の能動式消波装置について技術革新があった。

・模型の縮尺比をあてはめると現有水槽の水深では実験が困難となる場合に、数値計算結果と組み合わせて部分的な実験を行うようになった。

また、会議における勧告としては

・長水槽における波の不安定現象に関連して、実験域での時間波形を計測すべきである。

・不規則波実験では、双頭型スペクトルを用いることも考慮すべきである。

・大波高の過渡水波と不規則波実験における極大波の確率的な特性に関する研究が必要である。

などが提出され、さらに、将来的な研究に対する勧告のキー・ワードとしては、浅海波、不確かさ評価、実験と数値シミュレーションの結合、波・風・潮流の相互干渉などが上げられた。

発表は最終日前日の午後で、主としてChairmanからOHPを使って要点が説明された。書面による討論は2件で、参考文献および波の不安定性に関するコメントがあった。口頭では、浅海域での波高分布の不均一性などについて討論があった。

当初はEnvironmental Modelingという名称からして、もっと広い意味の海洋環境を取り上げるのかと思っていたが、実際には興味の対象が従来通りの項目に限定されていたのは残念であった。ただし、ITTCという枠の中で「水槽試験」の範ちゅうで考えると致しかたないようである。この委員会は今回で終わり、次期の継続委員会の名称が“Waves”ということになった。まぎれがなくて良いかも知れない。

 

Committee on Deep Water Mooring

木下健(東大)

 

今回のITTCの最後の技術委員会報告のセッションがこの委員会の報告であった。ACの会議と平行して行われた事に、同委員会のメンバーには不満が残ったが、熱心な60人程の出席者があった。

委員会のメンバーはC. Aage (デンマーク、chairman)、H. S. Coi (韓国)、K. Hirata (ブラジル)、A. Incecik (イギリス)それと日本から木下(東大)が出席した。その他の委員としてJ. J. Murray (カナダ)はsecretaryを途中まで勤めたが、委員をM. M. Bernitsas (アメリカ)と交替した。その後secretaryを勤め、本委員会で最も貢献したS. Moxnes (ノルウェー)とITTCの新顔のルーマニアのL. Cruduが所用で出席できなかったのは残念であった。Bernitsasは結局一度も委員会に顔を出さなかった。

3年間の期間中に東京、ニューカースル、ガラチで計3回会合がもたれた。Deep Water Mooringの範囲をまず、1000mより深い水深に限定している。TLP、SEMI、MONOHULL、SPARの深海域での特徴、catenaryとtaut mooringの比較、浮体、係留系、ライザー全体の連成の重要性、1:170極小モデル試験の可能性、深海係留浮体の数値的、実験的シミュレーション法のアンケート結果等が委員長より報告された。

 

 

 

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