本会議には、全委員が出席であった。報告はChairmanのNeil Boseにより行われ、パソコンのプロジェクタを使ったビジュアルな発表であった。最初のスライドで、サーフェスプロペラとBladelet Propellerの写真(CG?)が並べて象徴的に示され、面白かった。
この委員会のtaskは、「ダクト付きプロペラ、部分ダクト付きプロペラ、前後整流フィン付きプロペラ、翼端フィン付きプロペラ、Z-Driveプロペラの性能試験ガイドラインと、結果の実船スケールヘの外挿法のガイドラインを作成すること」ということであった。報告では、この課題に付いて、PBCF (Propeller Boss Cap Fin)、翼端フィン付きプロペラ、サーフェスプロペラ、振動翼推進器、プロペラ前後整流フィン、ダクトプロペラ、部分ダクト、Z-Drive (ポッド型プロペラ)と項目別に調査されている。また、後半部では、実船への外挿法・Powering手法の調査に移り、殆どがITTC 1978手法を修正したものであることを述べている。但し、上記全てのプロペラについて網羅的に記しているとは言いがたく、公表された文献やデータの少なさから、対象を少し絞らざるを得なくなっている。結論を要約すると、下記のようになる。
(1) 船体とプロペラの干渉が少ないもの(翼端Finなど)については、ITTC 1978法を修正した手法を使うことに、問題ないであろう。
(2) 船体とプロペラの干渉が大きいもの(ダクト、プロペラ前後整流フィン、Z-Drive)については、ITTC 1978法を使うのは問題である。すなわち、成分分解を行うのは問題となる。
この報告に付いて、3件の書面討論があった。P. Liu (IMD、カナダ)より、「特殊プロペラについては、計算も少ないし、その計算を検証するための実験データも殆どない。特殊プロペラの計算法に付いてのWorkshopを開いたらどうか」との提案があった。Workshopの開催は、このCommitteeがなくなることもあり困難であろうが、答えは「調査の段階でも信頼できるデータが少ないので、正直困った。特殊推進器については、模型試験データがあるのみで、実船データは殆どない。Power Saving率が示されているだけである」とのことであった。Rijsbergen (MARIN、オランダ)は、MARINで開発中のWhale Tail Wheelを紹介した。回転する翼であるが、前縁が上流側に常に向いているので、振動翼推進と同じ原理である。このような推進器の場合、Reynolds数が低くなるので、尺度影響が大きくなることが、図とともに示された。Gassemi (IMD、カナダ)は、Z-Driveプロペラ(ポッド型プロペラ)のストラットやハウジングの抵抗について質問した。答えは、「Committeeでは、ストラット/ハウジングの抵抗のスケーリングについては考慮していなかった。幾つかの手法が考えられるが、RANS方程式に基づくCFDの応用が最も良いのではないか。しかし、Committee報告で述べたように、スケーリングは自航試験から行うべきであり、成分分解するべきではない」とのことであった。その他にも4人から口頭討論があり、ポッド型プロペラ、実船データ、模型実験での乱流促進、サーフェスプロペラ等について、質問やコメントがあった。
Committee on Safety of High Speed Marine Vehicles
高木幹雄(広大)
本セッションは9月9日午後の1番目に、イギリスのMr. Brian Bowden (Secretaly of Advisaly Council)の司会の下に行われた。
本委員会はT. W. Dand (イギリス)を委員長に、J. A Keuning (オランダ)をSecretalyに、H. H. Chun (韓国)、L. Doctors (オーストラリア)、G. Grigoropoulos (ギリシア)、P. G. Grzybowski (ポーランド)、M. Takaki (日本)、S. Vogt Andersen (デンマーク)の8人で構成されているが、病気その他の理由で、本総会への出席は、D?d、Chun、Grigoropoulos、Takakiの4名であった。
本委員会は、先の21回ITTC勧告の下に設定された特別委員会であり、特に高速船の安全性向上の評価方法を明確にすることを目標とした。このために、本委員会は4回にわたる検討会を開催し、次の委員会報告をまとめた。その内容は次の項目からなっている。
(1) 高速船の安全性評価方法:技術的側面と操船的側面から幅広く検討していくことにしている。このために問題点が発散していく懸念があるが、目的はあくまでも高速船の海難事故の減少をめざして、次節に示すそれぞれの項目に関する研究の現状並びに問題点について調査分析を行った。
(2) 高速船の安全性に関する検討内容
(2.1) 高速船の事故解析
高速船の事故に関するデータが乏しく、事故原因を追求できるデータベースの蓄積が必要である。