これらを総括的にまとめて、関係する技術委員会へ送付し内容を検討するよう要請した。これら検討する資料の中には、実船と模型船の摩擦抵抗係数の相関を示すITTC-1957の摩擦抵抗係数式や、1978年の一軸船の馬力推定プログラムなどがある。これらの資料について、小生から国内の関係機関に配布し、検討をお願いした。それに対して、内容とともに名称についても意見をいただいた。
これら技術委員会およびAdvisory Councilのメンバーからの意見を取り込んで、資料にまとめられ、“ITTC Quality System Manual”の名称で希望する機関毎に総会の場で配布された。これらは“ITTC Sample Quality Manual”と“ITTC Quality Manual”からなる資料であり、前者は製本の形で、後者はルーズリーフの形で、また、両者を書き込んだCD-ROMで構成されている。ルーズリーフの形は将来差し替えが可能としたITTCのCatalogue of Facilitiesに倣った形である。“Sample Quality Manual”は既にISO 9000を取得した委員長と幹事がまとめたもので、ISO 9000に対する品質管理者の心構えから実務を行う人の教育を含めて解説が書いてあり、今後ISO 9000を取得しようとする機関には参考になる資料である。
さて、総会では、委員長のProf. G. Strasserが、上記作業とともに、ITTCのRuleの中でのRecommendationの承認手続きなどについて報告を行った。また、ISO 9000がProcessを重視した形式に2000年には改まるなどを報告し、今後引き続きこの作業の重要性を説明した。引き続いて、事前に出されていたWritten Discussionに移り、三菱長崎の土岐さんからはITTCの新しい資料の名称についての討論があった。韓国KRISOのDr. E.-C. KimからはISO 9000を導入した際に計測装置とダイナモメータの品質管理を同時に取り扱うよりも、実験の段取りに沿って別々にして、ダイナモメータは水槽試験の際に取り扱うべきという討論があった。三井昭島の安部さんと平野さんからは、水槽試験全般から見たときのManualの内容の充実についての討論があった。また、会場からoralで、フランス、ドイツ、スウェーデン、アメリカからそれぞれ意見討論があったが、委員長はそれぞれに対して応えるとともに、Advisory CouncilのMr. B. Bowdenが補足の説明を加えるなどして、この報告は終了した。
これらの討論を踏まえ、会議中に開かれたAdvisory Councilで“ITTC Quality Manual”は“ITTC Recommended Procedures, Guidelines and Benchmark Test Data”とすることにし、最終日の総会の場において承認された。最終報告書の案は委員長が主として小生と討論してまとめたものである。残念ながら、最終報告として決めたものが韓国の事務局に届かず、古い版の報告案が印刷され、三井昭島研究所の安部さんからの資料が漏れてしまった。来年2月に発行されるVol.IIIに本来の報告書が載るよう、委員長等と連絡中である。
最後に今期のグループの作業に対して、多くの方に協力を戴き有り難くお礼を申し上げるとともに、試験水槽委員会等で報告した内容と一部異なった形で総会資料になったことでご迷惑を掛けた関係各位に、この場をかりて、お詫び申し上げます。
Symbol & Terminology Group
長谷川和彦(阪大)
本グループの用務は一言で言うとThe ITTC Symbols and Terminology List (以下リストと称す)というITTCの機関メンバーが共通して使用する記号と技術用語リストの改訂作業を行うことである。作業そのものははっきり言って目立たない地味な活動である。しかし、他の常設委員会や特設委員会はもちろん、ISOなどへの要請や調整も必要であり、幅広い知識と見識、そして、人脈が必要であることを痛感した。さらに、前期より行っているリストのWeb化や1978年度版ITTC Dictionary of Ship HydrodynamicsのWeb化などインターネット時代へ対応した技術の知識も必要であり、本グループとしての最後の報告は、バンケットの直前のセッションであったにも関わらず、100名ほどの熱心な参加者の前で9月7日(火)にソウルで行われた。
委員はBruce Johnson (Chairman、アメリカ)、David Clarke (Secretary、イギリス)、Carlo Podenzanna-Bonvino (イタリア)と筆者の4名であるが、協力委員(Corresponding Member)という名称で過去の有力な委員経験者4名、Michael Schmiechen (ドイツ)、仲渡道夫(日本)、Kostadin Yossifov (ブルガリア)、Stanley S. Yuan (中国)(いずれも敬称略)に協力いただいた。会議には残念ながら委員長のBruce Johnsonが出席できず、残り3名の委員が出席し、David Clarkeがパソコンを使ってプレンゼンテーションを行った。