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Loads and Responses Committee

平山次清(横浜国大)

 

本技術委員会の報告は上海に移動してからで、9月10日(金)の2つ目のセッションでなされた。常設委員会としては最後であった。前後には復原性、環境モデリング、深海係留のセッションがあり、前回まで別個であったSeakeepingとOcean Engineeringの関連分野がまとまった形の報告スケジュールが組まれた。

メンバーは初(多分)の女性委員長のK. K. McCreight (アメリカ、DTMB)を含めて当初9人であったが、A. Magee (フランス、BEC)が都合により途中で辞任したほかノルウェーの委員も若いO. Hemundstad (MARINTEK)に入れ替わり、SecretaryのWichers (オランダ、MARIN)が本会議に出席できなくなる波瀾があった。他はG. E. Hearn教授(イギリス、U. Newcastle)、A. Maron (スペイン、El. Pardo)、D. J. Yum (韓国、Hyundai)、日本からは小寺山教授(九大、Ocean代表)と平山(横浜国大、Seakeeping代表)が委員であった。顔ぶれとしてはSeakeeping専門の委員が多数である。なお次期ITTC荷重応答技術委員会日本委員としては平山が辞任し、小寺山教授が委員長となって継続するほか、新委員として影本教授(東大)が選ばれた。日本からの委員が2名であるのはISSCとのリエゾンの役割とSeakeepingと山内保文教授らが創設したOceanが合体した点にあるほか何と言っても日本の役割が大であるからと理解している。

3年間の任期中になされた会合は4回(ワシントン、ニューキャッスル、ハーグ、ウルサン)で関連研究のサーベイと指定されたタスク及び自主タスクに関して熱心な討論がなされた。また本会議での報告前日には最終会合を持ち委員会としての答弁の調整をした。

今回の報告はSeakeepingとOcean Engineeringが統合されてから初めてのものであり、関連のスペシャリスト委員会と連絡を密に取りながらカバーする領域に落ちがないようにする予定であったが他の委員会に比べてあまりにも範囲が広く、かつ忙しいメンバーが多く、他の委員会との調整は必ずしもうまくいっていなかったように思う。領域の重複、空白域についてはAC/ECなどで調整すべきであろう。

当日の報告はE/CメンバーでもあるProf. Shen (CSSRC)の司会により始まった。まず委員長が約30分に亘って、液晶プロジェクタを使って概略説明した後、前もって提出された書面討論7件(延べ13項目)および口頭討論が約1時間にわたって行われた。

報告書の主な項目としては水槽試験における計測方法に関するアンケート調査結果(40機関回答)、過去のITTCによる推奨手法に関するレビュー、ベンチマークデータ(実験)、波の方向スペクトル、衝撃圧、海洋工学における流力弾性、係留浮体の低周波数波力、波浪中抵抗増加、船体運動の数値計算手法の傾向、風荷重および勧告である。

書面討論としては、風スペクトルの影響、波スペクトルの高周波数域形状がマイナス4乗型である場合の抵抗増加への影響、渦振動の計測と計算、多方向波と関連してResponse Based Designの検討要請、操縦運動におけるDamping Force、スラミング計測におけるセンサ直径が小さい事の意義、スラミング解析法、短波長域応答関数推定手法(紹介)、波浪荷重推定法(紹介)、損傷船体に働く波浪荷重(紹介)、ジャッケト近傍の波浪の遮蔽効果、レーザによるトラッキングシステム(紹介)などであった。

口頭討論は残りの15分を使ってなされ、波スペクトルにおける非線型問題、スラミング、数値計算法、低速度におけるダンピング、フルスケールにおける不確かさ解析など5件がなされた。

今回のITTCではオランダのMARINのメンバーが討論を精力的に行っているのが印象的で、これは他のセッションでも同様であった。

次期技術委員会のタスクの項目としては、今回と大きく変わるところはないが、スペシャリスト技術委員会の名称が変わった分カバーする範囲も変化することになろう。また今回ITTC全体を通してQuality Systems Groupが過去の勧告を集めたITTC-Sample Quality Manual集(2巻目は名称を変えるとの事)を作ったが、SeakeepingとOcean Engineeringに関連する部分を見直す作業も重要な仕事となる。これは面倒な作業ではあるが試験水槽王国日本としては看過するわけにはいかず、ISO9000とも関連して試験水槽委員会でも抵抗推進、操縦分野とも連携して検討する必要があろう。

 

Manoeuvring Committee

平野雅祥(三井造船昭島研)

 

本技術委員会のセッションは、会議2日目の9月7日(火)午前(10時45分〜12時15分)に、Prof Beck (University of Michigan)の司会のもとに開かれた。本委員会の委員は8名であるが、S. Cordier(フランス)、B. Pedersen (デンマーク)、K-P. Rhee (韓国)、M. Vantorre (ベルギー)、Z-J. Zou (中国)それに筆者の6名が出席し、2名が欠席であった。

 

 

 

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