理事会では次期(23期)の委員の人選に時間を費やして議論した。23期の技術委員会の構成については後で述べる。評議会での議論については、以下に述べるとおりである。
評議会での主な議題は、(1) Specialist Committee on Stability、並びにSpecialist Committee for Prediction of Extreme Ship Motions and Capsizingについて、(2) A/Cの会費について、(3) ITTC Web Siteについて、(4) 議長、副議長、Secretaryの選任、(5) 次回以降の予定、であり、上海での会合の主な議題は、(6) Quality Systems Manualの件、(7) 次期委員会タスクの最終確認、であった。
Stability Committeeについては本年3月に伊豆で開かれた理事会、評議会で廃止が決定していたものであるが、委員長のバサロス教授から「存続させるべきだ」との意見書が提出された。種々の意見が出たが、結局「終結したと判断されるタスクをさらに続けて追求したいという意向では、以前の決定を覆す理由にはならない」という意見が勝って、退けられた。それに対してその後水面下の動きがあり、上海での会合に「船に危険をもたらすような大動揺の推定について数値計算法の比較計算などをするために限定してSpecialist Committee for Prediction of Extreme Ship Motions and Capsizingを作ろう」という意見書が出され、やはり決定を覆すべきではないという意見もあったが、17対2(残りは棄権)の多数決で採択された。名前を変えて新設の形で復活させるという巧みな妥協案とも言えるが、3月の前回の決定が適当でなかったという反省はなく、「前回は、評議会が存続を要すると判断するような提案ではなかったから認めなかった。今回は、タスクを限定した明確な提案が出てきたから認めた」という姿勢で押し通した感がある。
評議会の会費は、前SecretaryのMr. Bowdenが引退した後も評議会Secretaryの仕事を続けてもらうのに必要な費用を賄うため、払える所が年間$1000ずつ負担しようという主旨で始まったものであるが、何時の間にか「A/C Fee」という言葉が使われるようになり、支払い状況と残高が報告されるなど、なし崩し的に会費にされてしまった感がある。
ITTC Web Siteについては、今回のProceedingsがAdobeの書式で極めて便利にDown-Loadできたことが高く評価された。今回集約されたRecommended ProceduresやCommitteeのProgress Reportなども入れてさらに強化すべきだという意見と、それはやるべきではない(これらはITTCの財産であるから安易に公開すべきではない)という意見が出された。したがって今後特に問題になるのは、Web Siteの保守に必要な人件費と現状ではOpen-to-the-PublicになっているものにSecurity機能を加えることによる保守側とユーザー側の手間であろうと考えられる。
次期の議長とSecretaryについては、SSPAのDr. Hans BrobergとDr. Berlekomが就任することが既に前回の会合で決まっている。現副議長のDr. Min (現代重工)が前回の会合に欠席したため次期副議長の件だけ未決であったが、まだ一期三年を務めたのみであるので、本人の承諾も得て留任が了承された。
Quality Systems Manualについては、“ITTC Sample Quality Manual”、“ITTC Quality Manual”という名称の冊子を発行するとQSGから提案があって、希望した機関にのみ参加登録の際に配布された。「ITTCは自らQuality Manualを持つというよりは、メンバー機関がそうするのを援助すべき組織であるから、ITTC Quality Manualという呼び方はおかしい」という討論をした所あっさりと通り、上海の会合で二冊目の冊子については“ITTC Recommended Procedures, Guidelines and Bench Mark Data”という名称に変更することが決定された。
次期委員会のタスクについては、Trial & Monitoring Committeeが「Speed/Power Trialsについては21st ITTC Guidelineに戻り(22ndでの検討は御破算にして) 23rd ITTCで再検討して決める」と結論しているのに対して、「22nd ITTCでの検討を踏まえてという表現をタスクに入れるべきだ」という議論をし、了承が得られた。Mr. Murdeyから「伊豆の会合では、“環境条件の影響補正を考慮して”というような表現にしていた筈」との発言があり、それも反映されることになった。その他の委員会タスクについては、大きな議論はなかった。
次回は来年の9月18〜22日にフランス海軍水槽(Val de Reuil)で開かれるONRシンポジウムに合わせて開くことになり、その次は2001年の6月にMichigan大学で、さらにその次は2002年の2月末か3月初めにGoteborg (Sweden)で開催すると、大筋が決定された。
3 技術委員会(Technical Committee)
3.1 常設技術委員会およびグループ
Resistance Committee
鈴木敏夫(阪大)
本委員会の報告は、MAEINEのDr. Jensenの司会のもと、会議4日目の2番目のセッションとして行われた。