ITTCでは世界を6つの地域に分けて、それぞれの参加機関はそのどれかの地域に属している。表2-2はその一覧で日本はオーストラリア、インド、インドネシア、マレーシアと太平洋諸島地域(Pacific Islands)に属している。6つの地域からそれぞれ1人の理事を理事会に送り、理事会は議長とあわせ7人のメンバーで構成されている。理事会の議長はその期の開催地の代表が就任する。22期は韓国ポーハン科学技術大学のC. M. Lee教授であった。またセクレタリーは韓国KRISOのDr. S. I. Yangである。
評議会は世界の大水槽30機関が参加している。日本からは船舶技研、目黒水槽、三菱、IHI、三井、東大の6機関である。評議会メンバーの資格は「実船の性能に責任を持つ、商売として水槽試験をやっている、十分な施設とスタッフを持つ伝統ある機関」ということである。「商売として水槽試験をやっている」という条項のために大学は参加しにくい。現在、30機関の内、大学は上海交通大学、ミシガン大学、東京大学、最近参加が許されたニューキャッスル大学の4機関のみである。
一方、評議会の役割は創設時より大幅に増大している。本来は主として理事会の要請に応じ、必要な事項を審議し理事会に答申するものであったのが、現在はITTCの全体にわたって、実質上決定している。形式上は評議会から理事会に提案し、理事会が決定するという手続きを踏んでいるが、理事会メンバー全員が評議会に出席しているので、実際は理事会では全く議論がされないことが多い。したがって特設技術委員会の設置や廃止、次期技術委員会のタスクをどうするかなど、ITTCメンバーに重大な関心のあるこれらのことについては、まず評議会に働きかけるのがよい。
理事会の専決事項としては技術委員会等の人事のすべて、新しい機関のITTC加入の審査、評議会メンバーへの加入の審査、次期開催地候補の決定(最終的な決定は本会議で行われる)などである。理事会の地盤低下は会議にかける時間にも現れている。87年の神戸でのITTCの頃には、理事会2日、評議会1日であったものが、最近では評議会2日、理事会1日となっている。また理事会メンバーは2期6年で交代するのが原則であるのに対し、評議会メンバーはそれぞれの機関の代表ということで任期がなく、10年以上も同じ人が評議会に出席している機関もある。このことも評議会が優位に立つ、かくれた理由になっている。今回の本会議期間中には理事会が3回、評議会が2回開催された。