添付資料(3)
盲導犬使用者の人権侵害に関するアンケート調査結果
1999年11月5日 全日本盲導犬使用者の会
会長・清水和之 調査担当・竹前栄治
盲導犬使用者の人権侵害に関するアンケート調査の結果についての報告
1 調査目的:
近年、行政機関、マスコミ、関係団体(協会、同窓会など)の尽力によりホテル・旅館などの宿泊施設やバス・タクシーなどの公共交通機関、劇場、映画館などの娯楽施設の利用拒否の事例はかなり減少してきているが、まだ拒否の事例も多く見られる。この事態を改善するために、利用拒否の現状を把握することを目的とする。
2 調査対象:全会員(346名中135名が回答、回収率39パーセント)
3 実施時期:1999年5・6月
4 結果の概要
昨年(平成10年)4月以前にホテル、レストラン、タクシーの利用拒否を経験した会員は約8割であったが、ここ1年間(1998年4月以降)は約5割に減少した。社会の理解が進み、だいぶ改善された跡が見られる。
拒否されていないと回答(このうち半数は希望どうりに利用でき、3割は利用の機会がなかった)。拒否された場合、折衝したり、親会社・上部組織から指導してもらったり、行政機関からの指導により利用できた事例もある。また、盲導犬の料金を支払わされたり、盲導犬を隔離されたり、レストランに入らないことを条件に利用を許されたりしたケースもあった。宿泊施設側の拒否の理由としては「犬嫌いの人がいるから」が約2割、「受け入れ準備がない」および「構造上不備」があわせて2割、衛生上の理由が約2割弱、「畳の部屋」約1割、「営業方針」が1割5分などであった。拒否の程度は2回に1度以下の割合である。地域別では、都市部でも数ケース、その他の県では1ケースか2ケース程度にとどまっている。
レストラン、飲食店の利用では、拒否は約5割弱となり、拒否されなかったケースが約5割強(うちの約8割は希望どおりに利用できている)となっている。拒否された場合、入店を断念した事例が3割、折衝して入店できたのが約2割、親会社・本店か、保健所の指導により利用できたものも約1割いたが、いったん入店してテーブルについた後追い出されたケースや、休店日と嘘を言われて断られたケースもあった。ここでも拒否の理由のトップは、「犬嫌いの人がいるから」(約2割)、「保健所から駄目と言われているから」という認識不足の理由が約8パーセントもあり、「衛生上の理由」が約1割5分、「受け入れ準備がない」および「構造上不備」が合わせて約2割、「営業方針」1割5分、「畳の部屋」が0.7割というように、宿泊施設の拒否理由とほぼ同じ傾向が見られる。拒否の程度は、やはり2回に1度、つまり50パーセント以下のケースが多い。地域別でも、東京都の9ケース、大阪市の5ケースを別にすれば、他の県は1ケースか2ケースにとどまっている。
映画館、劇場などの利用拒否は、宿泊施設や飲食店の事例に比べて著しく少なくなっている。