【3】関係団体・関係省庁への要請
(1)医療費補助の地域差解消のために、獣医師会等へ協力を要請する
本調査では、医療費の負担について、盲導犬現ユーザーのうちの37.3%、また元ユーザーの29.5%が、大きな問題として挙げられている。医療費補助についてもかなりの地域格差があるので、獣医師会等に呼びかけ、協力を要請する。さらに関係団体、関係省庁にも交渉を行なっていきたい。
(2)長期的には保険制度の導入の可能性を探る
医療費は、補助がある地域はまだ一部であり、地域格差が大きいのが現状である。保険という形が、なかなか成立しないところをみると、現実的には難しい点も多いと思われるが、長期的には獣医師会等の組織や団体との共同で、保険制度のようなシステムを考えていくことも必要である。まずは、割引券や補助の要請等を呼びかけていくような活動が必要であろう。
(3)狂犬病などの予防接種や登録等の費用の自治体負担を働きかける
狂犬病注射登録については、保健所に働きかける。これは無料を主張してもよいと思われる。
(4)高額・長期にわたる疾病は盲導犬訓練施設に戻し治療を受けさせる
治療医療費に関してはニュージーランドの盲導犬協会から、盲導犬が怪我・病気をした時は盲導犬訓練施設に一度戻すのが最もよい方法とアドバイスを受けている。
ある程度高額の治療費が必要な病気にかかった場合、盲導犬訓練施設に戻し治療を受けさせることが現実的であろう。しかし、アレルギーや皮膚病など、日常的な病気ならユーザー負担としてもよいと思われる。
(5)低所得者に対しての盲導犬維持費の補助要請
生活保護を受けている人には、盲導犬訓練施設がある程度援助する対策、例えば助成金を出すなどの検討が必要であろう。
どういった機関が出すべきかを検討する必要があるが、まずは行政、そして各盲導犬訓練施設から助成を受けるという方法が考えられる。
(6)職場へのアクセス
盲導犬ユーザーの雇用促進を労働省や障害者雇用協会へ働きかける。
(7)公的資金を導入した住宅の盲導犬ユーザーの受け入れ
マンション等を建設する際に公的な資金を受給する場合、盲導犬ユーザーの受け入れを拒否してはならないといった通達を、建設省等から出してもらうよう働きかける。アメリカのリハビリテーション法504条には、そのような条文がある。