【2】ホテル・旅館などの宿泊拒否及びレストラン・飲食店などへの入店拒否について
[1]事業主への事前調査の実施と業界別マニュアル作成
畳の場合であれば「靴下をはかせればいいのか、あるいは他にどうであればいいのか」といった盲導犬利用環境改善のための対策を考える事前調査を実施し、現状を把握する。その結果を基に業界毎に統一したマニュアルを作成し、それを各事業主に配布してもらうことを考えていきたい。また、作成したマニュアルは厚生省などの行政機関を通じて配布し、マニュアルが十分活用されるよう行政機関と盲導犬関連団体の両面から事業主に働きかける必要がある。
対象業界としては、旅館・ホテル、飲食店、小売業(スーパーなど)、交通機関、公共施設、病院、住宅関連などと、視覚障害者関連施設、そして、神社・仏閣等も入れていきたい。活動としては、調査の実施(既に独自にマニュアルを作成している事業主も含む)、それに基づく業界別マニュアル作成が核となる。
こうした入店拒否等の問題は改善されつつあるが、まだまだ地域格差がある。事前調査に際しては、特に対象領域に偏りが出ないような注意が必要である。
[2]盲導犬ユーザーのためのマニュアル作成と配布
事業主への要望を出していくにあたっては、盲導犬ユーザーもマナーの向上を心がけなくてはならない。より良い盲導犬の利用環境を形成するためにユーザーマナーのマニュアルも作成する必要がある。
最低限のマナーや場面場面に合わせたマニュアルも必要であるが、最も必要と思われるのは、「宿泊・入店・乗車」の3つの場面と思われる。
[3]都道府県および政令指定都市の障害福祉主管課に「盲導犬110番」を設置
拒否または何らかのトラブルがあった場合の救済機関として、都道府県および政令指定都市の障害福祉主管課に「盲導犬110番」の設置要請を行う。現在、トラブルがあった場合、各盲導犬訓練施設、全日本盲導犬使用者の会問題対策部、厚生省社会参加推進室などで処理されているが、厚生省に連絡する前に、より身近な自治体に救済機関があることが望ましい。
「盲導犬110番」の設置は盲導犬に関する立法化促進の一ステップと位置づける。まず行政指導を強化するという意味で「盲導犬110番」を設置し、最終的に立法化を目指していきたい。そのために、聴導犬・介助犬など、他のサービス犬との連携も必要であろう。また、視覚障害者団体や一般の人たちにも盲導犬理解を促進する空気を醸成していく活動が必要である。