第三部会 報告
課題
盲導犬の快適な利用環境形成
リーダー:竹前栄治
メンバー:朴善子 金孝男 米谷忠男
【1】盲導犬利用環境の現状
入店拒否・乗車拒否の問題は都会では減少傾向にあるが、地方ではまだまだ多く、この問題の地域格差は大きいといえる。実際に都会に比べ地方で活躍する盲導犬は頭数も少なく、盲導犬ユーザーと接触する機会も盲導犬に関する情報接触の機会も少ないため、盲導犬に関する理解もまだ不十分な状態である。
ホテル・旅館業界においては、ビジネスホテルなどは入店拒否の問題は改善されつつあるが、依然日本旅館での拒否が多い。また、盲導犬ユーザーの中には一般の団体旅行にも参加したいという意向もあり、今後は旅行代理店への啓発も必要である。
病院での受け入れはずいぶん改善され、現在ではほとんどの病院で盲導犬も診察室まで入れるようになってきた。しかし、入院の場合は一緒に入院する事は難しい。
また、盲導犬の利用を希望しながらも、住居形態によって利用ができない場合がある。特に借家住まいの場合には、動物を飼ってはならないというところも多く、集合住宅の管理組合や貸主、不動産会社などの理解が得られない場合も多い。
職場環境では、盲導犬の係留場所があり、自分の職場(席)まで入れていけないという制限もある。盲導犬は視覚障害者にとっては白杖と同様の存在であり、常に自分のそばに置いておけるような環境をユーザーは望んでいるが、そうした環境づくりはまだ十分ではない。
こうした利用環境の整備を進めるにあたり、入店拒否をする側の実態を調査し、業界・団体へ要望する必要があろう。この調査は5年おきに実施し、常に新しい情報が入手できるような仕組みをつくり、盲導犬利用環境の改善に役立てていくべきである。また、調査結果をもとに、業界団体への要望書を出し、盲導犬利用環境の改善を図りたいと考えている。
例えば日本旅館なら、畳が擦れるから盲導犬を拒否するのか、畳が擦れるとしたらどこに犬を置けばいいのか、など拒否をする理由と、その対応策への具体的な意見を聞いた上で要望書の作成を考えなければならない。
盲導犬の利用環境改善のためには、住宅関係、宿泊施設、飲食店関係、小売店、交通機関、公共施設、文化施設などの利用に関する情報の収集と検討が必要であると同時に、環境改善のために、盲導犬ユーザーからの盲導犬に関する情報提供による理解促進が必要である。その意味でもマニュアルの作成が重要と考える。
団体旅行への参加の問題も、まず実際に受け入れているかどうか、または拒否する場合の理由などについて調査をし、それをもとに、マニュアルを作成して配布する方法が効果的である。