【4】一般社会への盲導犬に関する情報の提供
[1]盲導犬ユーザーが生活する地域に対して
盲導犬ユーザーが生活する地域の町内会や病院などへ情報を提供し、盲導犬の利用に関する理解を促進することも重要なことと思われる。例えば、盲導犬ユーザーが自分の居住地域において盲導犬に関する理解不足から入店拒否を受けるようなことが起これば、それは本人にとっても地域社会にとっても残念な事である。もし、盲導犬ユーザーの居住地域に事前に盲導犬に関する情報を伝えることができれば、そうしたトラブルも防ぐことができよう。盲導犬ユーザーを受け入れるためのマニュアルを作成し、提供することで、地域の盲導犬への理解を得ることができれば、それは盲導犬ユーザーの生活環境整備という意味でも大きな支援となろう。
[2]マスコミなどに対する盲導犬に関する正確な情報の提供とチェック
最近、一般の人向けに盲導犬ユーザーをテーマにしたテレビ番組や映画が製作されることがしばしばあるが、こうした一般の人向けの情報発信はその内容を慎重にチェックしないと、盲導犬そのものに対して、あるいは盲導犬ユーザーに対して一般社会の認識が偏ってしまうことが考えられる。従来から「かわいい」「賢い」「やさしい」という部分が強調されてきた。それだけでは盲導犬を適正に理解したことにならず、それゆえに正確な盲導犬に関する情報の提供を継続していく必要がある。
表現の自由と誤ったイメージの修正は分けて考え、情報のチェックを常に心がけ、調整していくことが必要である。
[3]福祉教育及び盲導犬に関しての正しい理解、啓発のための教材作成、講演会の開催など
最近では、小学校、中学校やいろいろな職場などから盲導犬事業関係者に対して盲導犬に関する講演依頼が増えている。学習指導要領の改訂により「総合学習」が新設されたこともあって、学校の先生からの講演依頼が増えている。
一般の人は盲導犬の存在は知っていても、盲導犬そのものに関して、あるいは、盲導犬を利用するということに関して十分に理解しているとはいえない。日常生活のなかで、盲導犬は身近な存在でないため、作られたイメージしか持つことができないといえる。盲導犬に関する情報を適切に伝えるためには言語による情報だけでは不十分であり、こうした盲導犬事業関係者による講演のなかでビデオなど視覚情報もまじえて盲導犬とその利用生活の具体的な姿を伝えることは盲導犬に関する理解と受容性を高めることにつながるものである。
現在の学校教育における課題のなかで、学習指導要領の「総合学習」として、どのように障害のことを取り上げていくかは重要な項目である。子どもたちが興味を示すのは、盲導犬、手話、点字、車いすなどであり、手話については、既に、多くの小学校で取り扱われている。
また、パーソナルコンピューターは学校教育にも多く活用され、インターネット情報は教材として活用されている。ホームページによる盲導犬に関する情報提供は有効かつ効率的な方法として、今後、さらに重要性は増していくであろう。