日本財団 図書館


【2】視覚障害者への情報提供

 

[1]情報提供、相談、コンサルティング

一般視覚障害者に対して、盲導犬利用への啓発のために重要な情報は、盲導犬への関心はあるけど、自分の生活環境では利用できないのではないか、という意識の払拭と、盲導犬をもっと身近な存在にするのに役立つものである。実際には、盲導犬を利用したくても住宅環境や経済的な問題、視覚障害者の生活に関わる人たちの理解不足などが盲導犬利用の妨げになっている場合も少なくない(この点については、第三部会で検討)が、利用検討の前に自らあきらめてしまっている場合も多いのではないだろうか。まず、「どういう条件が揃えば自分も盲導犬を利用できるのか」ということを視覚障害者が理解できる情報提供が必要である。

また、盲導犬ユーザーの生活情報がさまざまな情報源から提供されると、盲導犬をもっと身近な存在に感じることができるようになり、盲導犬を利用して生活することがいかに快適かについてイメージできるようになる。「あなたの町にも盲導犬はいますよ」と紹介することは、それほど難しいことではないはずである。

一般視覚障害者が失明して最初に関わるのは社会福祉事務所であるが、ここで失明から立ち直るためのワンツースリーのような情報集のなかに盲導犬に関する情報も入れて、たとえば、それをテープにして障害者手帳と一緒に渡せば確実に情報が提供できる。

既に障害者手帳を保有している在宅の視覚障害者に対しては、盲導犬に関する情報を伝えるのはかなり難しいと思われる。しかし彼らのなかには自治体の福祉課から広報情報をテープや点字で渡されている人もいる。そうした広報メディアに盲導犬に関する情報を掲載するよう働きかけることも可能である。盲導犬に関する情報を点字図書館に置くことも有効と考える。

多くの視覚障害者はラジオをよく聞いている。たとえば、視覚障害者向けの番組としてNHKでは「視覚障害者のみなさんへ」があるが、そのなかに盲導犬に関する情報も入れてもらうよう要請することも必要であろう。

視覚障害者が、視覚障害者の団体に所属しているからといって、必ずしも盲導犬に関する情報が詳細に提供されているとはいえない。こうした状況のなかでは年に数回イベントを行い「点字毎日」のような視覚障害者に向けたメディアでのPRや記事として情報提供を行ったり、各盲導犬訓練施設が勉強会などを実施して、盲導犬に関する情報を提供していく方法が有効であると考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION