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[2]盲導犬情報提供のあり方

まずは、視覚障害者が盲導犬に関心を持ち、盲導犬について情報収集をしようと思う意識形成が必要であるが、そのための方法として2点考えられる。1点は、前述した、視覚障害者にも大きな情報発信力を持つ「一般マスコミ」などの情報メディアによる、視覚障害者本人への直接的な情報伝達・提供。もう1点は、視覚障害者の生活に関る人たちに、まず、盲導犬及び盲導犬を利用する生活を理解してもらい、その人たちが視覚障害者を啓発するという方法である。

前者の「一般マスコミ」などの情報メディアについては、影響力の大きいメディアだけに、発信する情報は正確を期さなければならない。後者は、視覚障害者に対する立場、関わり方の違いで、必要な情報の内容・レベル、そして彼らへの効率的な情報伝達手段も異なると思われる。

従って、盲導犬に関する情報の提供対象は、視覚障害者本人だけでなく、視覚障害者の生活に関る医師、盲学校の教師、障害福祉主管課などの自治体関係者、さらに同じ居住地域の人達、家族など、さまざまな人たちとなり、その提供内容、提供方法も多様で、現状ですべて対応するのは非常に難しいことである。

多様な情報提供対象者に対して、多様な内容、レベルを提供できる、総合的な情報提供機能を持つ、新たな機関の設立が望まれるところである。

さらに視覚障害者が盲導犬を持ちたいと思った時、気軽に相談でき、視覚障害者が各自持っているニーズに最も合う盲導犬やサービスを選択するのを助ける機能も必要である。

現在、盲導犬利用希望者の知りたい情報は、各盲導犬訓練施設がそれぞれの内容で、それぞれの方法で提供している。そのためにサービス内容をはじめとした盲導犬訓練施設の選択の材料になる情報が、比較するという視点では、提供されていないのが現状である。利用希望者が盲導犬ユーザーになった時に、より高い満足度を得るためには、後悔のない選択が必須であり、すべての盲導犬訓練施設のサービス内容を同じレベルで比較検討できる情報提供のあり方が、視覚障害者の視点に立ったものといえよう。

そのためには、盲導犬訓練施設8法人が協力団結して、各施設情報を同じレベルで開示し、1つの情報拠点に集約させて、情報提供の窓口を一本化することが必要である。

前述したように「盲導犬ユーザー」は、視覚障害者が盲導犬に関心を持つきっかけとなった情報源として、最も高い数字を示している。満足度の高い盲導犬ユーザーは、強力なオピニオンリーダーとなるであろう。

これまで盲導犬情報提供のあり方について、様々な視点で考察したが、まとめると、現在の盲導犬訓練施設が協力、一致団結して、視覚障害者視点に立って、視覚障害者が盲導犬利用生活に入るまでの様々な情報ニーズに対応、提供する。また、盲導犬に関して、視覚障害者の相談役にもなり、マスコミ情報についてもチェック機能を持つといった、全く新しい総合的な盲導犬情報提供機関の設立が望まれているといえよう。

 

 

 

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