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第二部会 報告

 

課題

視覚障害者とその周辺及び一般社会の盲導犬に関する意識の向上・理解促進・情報提供

 

リーダー:徳田克己

メンバー:清水和行 小谷野奎一郎 加瀬三郎

 

【1】盲導犬に関する情報提供の現状

 

[1]盲導犬に関する情報提供の現状(平成10年度「盲導犬に関する調査」から)

一般の視覚障害者における盲導犬についての認知度は、「よく知っている」18.8%「少し知っている」55.9%となっている。全体の4分の3近くの人は盲導犬について何らかの知識は持っているといえるが、十分に理解しているとはいえない。

一方、盲導犬に対する関心は、「おおいにある」29.4%、「少しある」41.1%で、合わせると70.5%に達しており、盲導犬については視覚障害者の多くの人が関心を持っていることがうかがわれる。

また、盲導犬に関心を持つきっかけとなった情報源は、「盲導犬ユーザー」「一般マスコミ」が高い割合を占めている。特に、利用希望者の55.7%、一般視覚障害者の58.5%が「盲導犬ユーザー」を挙げており、「盲導犬ユーザー」が盲導犬に対する啓発手段として大きな力があることがわかる。「一般マスコミ」についても、利用希望者で33.0%、一般視覚障害者で44.2%が情報源としており、「一般マスコミ」は一般の人だけでなく、視覚障害のある人にも強い情報発信力を持っているといえる。一方、情報源としての「盲導犬訓練施設」は、利用希望者で28.4%、一般視覚障害者で18.9%となっており、両者で差がみられる。利用希望者の方が情報を得るために、自分から盲導犬の専門機関に連絡をとるなど、盲導犬情報に対して積極的な姿勢がうかがわれる。

次に、盲導犬のイメージは、盲導犬利用希望者では、「賢い」21.6%が最も強く、ついで「友達・パートナー」18.2%、「忠実・従順」15.9%、「頼りになる」「外出が安全」各12.5%と続き、盲導犬の果たす具体的な役割に関連するものが上位に挙げられている。一般視覚障害者も「賢い」16.9%、「頼りになる」12.0%、「忠実・従順」11.2%と同じようなイメージを持っているが、加えて「かわいそう」11.2%、「世話が大変」9.7%といった利用希望者とは異なるマイナス傾向のイメージも挙げられている。

盲導犬事業の拡大・推進のためには、一般視覚障害者において盲導犬に対する利用意向の喚起、あるいは形成が、前提条件といえるが、本調査結果から、一般視覚障害者は、盲導犬に関する知識、関心はあるものの、盲導犬利用希望者と比較すると、盲導犬に関して一般的なイメージしか持っていなかったり、誤解している面もみられる。また、盲導犬情報についても自分から積極的に得ようという意識は低いといえる。

多くの一般視覚障害者が持っている“盲導犬に対する関心”を“盲導犬利用意向”に一段階レベルアップさせるためには、盲導犬情報取得に対して消極的であっても容易に気軽に情報に接触でき、その情報内容から、盲導犬そのものに関して正しく理解し、その盲導犬を利用するということがいかに自分の日常生活を快適にできるかを正確に伝え、理解を得ることが重要であり、そのための新たな仕組み、方策が必要となろう。

 

 

 

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