このことは
○最近は高齢者が健康維持に努め、運動能力も高いレベルで維持される。
○犬種の多様化、性格の安定化が図られ、盲導犬が高齢者の歩行、行動に適するようになった。
○高齢者に合った歩行指導が行われるようになった。
などの事情があると思われる。このように、盲導犬訓練施設側が高齢視覚障害者の盲導犬利用に積極的に対応するようになっていることがうかがわれ、高齢視覚障害者の盲導犬利用には道が開かれつつあるといっても良い。今後、より積極的な対応が望まれよう。
(2)盲ろう者を含む重複視覚障害者等の盲導犬利用
重複視覚障害者の盲導犬利用については、我が国の盲導犬訓練施設において、これらの問題に関する明確な資料はない。しかしながら、個々の盲導犬訓練施設において、試行的な取り組みがなされている。
重複障害者、あるいは合併症を有する視覚障害者に対する盲導犬を利用した歩行指導は、いうまでもないことだが、視覚障害だけでなく、重複する障害や疾病、そして派生する諸問題について、歩行指導員が十分な知識を持たなければならないし、適切なアドバイスを受ける専門家や人的資源のネットワークが不可欠である。しかし、最も大切なことは、これら盲導犬利用を希望する重複障害者や合併症を有する視覚障害者の切実な声を、盲導犬訓練施設や盲導犬の訓練に携わる指導員等が、克服すべき課題として受けとめることができるかどうかということである。