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これら3つの歩行スタイルは、それぞれが他のスタイルにはない長所を持ち、これらの歩行スタイルの中で、どれが最良であるとか、比較評価できるものではない。それぞれの歩行スタイルが、安全かつ有効な盲導犬歩行を可能にしているのである。また、歩行スタイルと同様に「ハーネス」の形状もさまざまであるが、これも、それぞれの歩行スタイルに適合した形状ということで、優劣が論じられるものではない。しかしながら、ひとつの国において、確立した3タイプの歩行スタイルが混在するのは、日本のみであることも確かである。

 

(3)タンデム(盲導犬共用)方式

タンデム方式は、日本の住宅事情や盲導犬の育成数の少なさから試みられている新たな盲導犬利用法の一つとして期待されている。すなわち、視覚障害者の夫婦(親子)がともに盲導犬利用を希望した場合に、狭い住居に2頭の大型犬を飼育することは困難を伴う場合が少なくない。このような場合、同じ盲導犬で二人に歩行指導を行うことで、共用を可能にするのである。しかしながら、二人の体格や歩行速度があまりにも違う場合はタンデム方式が困難であろうし、双方とも利用頻度が高い場合も難しいなど、どのようなケースにも適用できる方法ではない。ただ、2頭の盲導犬を飼育することをためらって、盲導犬利用までためらっているケースがあるとすれば、タンデム方式は盲導犬利用の可能性を高める有効な方法であることは確かであろう。

 

[3]高齢視覚障害者・盲ろう者を含む重複視覚障害者の盲導犬利用

 

(1)高齢視覚障害者の盲導犬利用

身体障害者実態調査によれば、65歳以上の視覚障害者は全体の57.0%を占める。身体障害者手帳1級所持者においても同様の割合である。一方、本調査において、60歳以上の盲導犬ユーザーは全体の26.4%である。これと比較するような外国の指標はないが、多くの盲導犬訓練施設が盲導犬ユーザーの年齢上限を設けていないことを考えると、高齢者の比率は低くはないと思われる。

さらに、盲導犬訓練施設に申込書を提出している盲導犬利用希望者のうち、30.7%が60歳以上であるということ、ならびに一般視覚障害者のうち、盲導犬利用希望を示した高齢視覚障害者は60代14.6%、70代でも12.3%と、本調査にみられる高齢視覚障害者の盲導犬に対する関心の高さは注目しても良いであろう。昨年11月に名古屋市で開かれた日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会職員研修会では、80歳代で初めて盲導犬を貸与した事例が報告されている。

 

 

 

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