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3 共同繁殖センターの内容

 

[1]共同繁殖センターに求められるものと注意点

これまでに行った考察と事例からみて専門機関としての共同繁殖センターを設立する場合に求められるものを整理してみた。

1]質の良い訓練候補犬を安定的に供給できること

2]ニーズに応じた訓練候補犬を産出するため、繁殖犬の改良ができること

3]優れた繁殖犬の血統を後継できること

の3点に集約できる。1]が共同繁殖センターの主要課題であり、2]3]がその解決策といえる。繰り返しになるが、共同繁殖センターの設立は、既存の盲導犬訓練施設のため、訓練士のため、盲導犬のため、そして何より視覚障害者のためになることは間違いないと思われる。一方で共同繁殖センターの設立については、いくつか注意すべき点があり、十分な検討がなされるべきである。

 

(1)設立主体

盲導犬訓練施設8法人はそれぞれが独立した法人であり、理念や事業の進め方に違いがあろう。しかしながら、共同繁殖センターがもたらす効果に目を向け、将来を見据えた視点で、積極的に共通認識を図る努力と検討が必要であろう。

 

(2)設立場所

設立主体と同様の検討が必要である。輸送の問題・気候や病気の問題・繁殖ボランティア確保の問題・土地の確保や周辺環境などが今後の具体化に向けて重要な要素である。

 

(3)設立・維持経費

共同繁殖センターの設立が、いかに盲導犬育成事業の発展に貢献するかという調査結果が出ても、財政的な援助がなければ夢物語で終わってしまう。広く社会的な規模での支援を期待したい。

 

(4)拠出費用

各盲導犬訓練施設の経営基盤は盤石でないかもしれないが、受益者的立場よりも、運営主体としての一翼を担うべきである。拠出費用だけがそれを保証するわけではないが、試算の上大いに検討される項目であろう。

 

 

 

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