11)機関操作命令と応答 : エンジンテレグラフやプロペラコントロールそしてその指示器を含む。またバウスラスターが装備されていればその状況を含む。
12)船体開口部の状態
13)水密扉と防火扉の状態
14)加速及び船体応力 : 船体応力・応答監視装置を装備している船舶では、記録されるデータ。
15)風速と風向 : 相対的な風速と風向。ただし可能な船舶。
このような項目別データは、最低12時間保存されなければならないこととなっている。これより古いデータは書き換えられてもよい(上書き可)。
3.3 トラックコントロールシステム
計算機の進歩は、情報処理を飛躍的に向上させた。このため船舶でも計算機が導入されたが、船内の情報の電子化は遅れていたため、十分に機能することはできず、計算能力だけが使われていた。ところが海図情報が電子化(ENC: Electronic Navigation Chart)されECDISが出現すると、船舶運航の自動化が一挙に進んだ。その一つがトラックコントロールシステムである。これはECDIS等を使って計画された航海計画に基づき、ウェイポイントを結ぶ航路上を船が航行するように、船の速力や針路を制御する装置である。この装置では予め次のことを決めておく。
1]計画航路からの偏位の許容限界(偏位警報)
2]2種類の測位システムの選択と位置モニタ(自船位置警報)
3]変針や変速が必要になったときの手続き(針路差警報)
4]その手続きに従って変針・変速する方法(低速警報)
これにより後は自動的に針路速力が制御されるので、運航者はトラックコントロールシステムが正常に機能しているかどうか表示を見てチェックすればよい。装置では選択された測位システム(一般にはGPSやDGPS)による位置を使って、自船の航路からの偏位量を求め、次にこの偏位量を修正するための新しい針路を算出し、最後にこの針路になるように自船針路を制御する。今までこの作業は航海士によって行われていたが、測位、海図への位置の記入、計画航路からの偏位量とこれを修正するための新しい針路の計画、オートパイロット(トラックコントロールシステム)への新しい針路入力等の、4つの作業が全て自動化されたことになる。また、運航者との間にスムーズな補完関係を確保するために、システムとして次のような情報を運航者に表示する4。
4Resolution MSC.74(69) ANNEX 2 - Recommendation on Performance Standards for Track Control Systems 参照