薬液の調合などの詳細
約140gあるいはそれ以上の重硫酸ナトリウムを1リッターの海水に溶かします。これらの溶液は無色ですので、注射液がちゃんとヒトデに注射されていないかを礁認するために食紅などで着色すると便利です。オニヒトデのからだの4箇所に6mlづつ、合計24ml注射するのが適当です。
(2) 水中で切断
オニヒトデの体をいくつかの部分に切断するというのは最も初期に試された簡便な方法です。しかし、この方法は、切断された部分が再生し、かえって数がふえるのではないかという危惧や、季節によっては放卵放精を誘発するのではないかという不安から、沖縄では通常採用されていません。オニヒトデ以外のヒトデでは、切断された部分から完全に再生する種類も知られていますが、オニヒトデではそのような能力があるかどうか確かな証拠がありません。ただ、4分の一に切断されたオニヒトデが何週間も生存したという報告は多くあります。
切断方式の利点
●特別の道具を必要としない。
●薬品も使わないのでサンゴ礁生態系に及ぼす影響が少ない。
切断方式の欠点
●ヒトデを切断するために枝状のサンゴの間やテーブル状のサンゴの下からオニヒトデを引っ張り出さなければならず、このとき、サンゴを傷める。傷ついたサンゴが分泌する粘液が、さらにオニヒトデを呼び寄せるという報告もあります。
●注射の場合と同様、オニヒトデがサンゴ礁上に放置されるため、条件によっては海岸に打ち上げられる可能性が皆無ではない。
●作業員がオニヒトデの棘に刺されることがよく起こります。オーストラリアでの調査では、この切断方法は注射法にくらべ効率が10分の1しかなく、20匹のオニヒトデを切断するうちに3回棘に刺されたという記録もあります。棘に刺さると、人によっては日常生活や仕事に支障を来すほとの事態に至る場合があります。この、いわば社会的なコストを忘れてはいけません。