最近、オーストラリアのグレートバリアーリーフにおいて、プールの水の酸−アルカリ度を一定に保つための薬品として広く一般につかわれている硫酸水素ナトリウム(NaHS04)がオニヒトデの注射に効果的であるとしられるようになりました。硫酸水素ナトリウムは白色の結晶で安価で安全、もっと量要な点は全く無害な成分に分解するということです。薬液は、大型の注射器やそれに類似した道具を使って注射することが出来ます。畜産用の注射器にいろいろなサイズ・デザインで連続的に注射できるタイプのものがあります。これに出来るだけ長めの針をつけます。針が長いほうが、作業をする人がオニヒトデの棘に刺される危険も減りますし、サンゴの隙間に隠れているオニヒトデに注射するのも容易になるからです。注射液のタンクはポリエチレン製などで適当なサイズのできるだけやわらかい容器を使います。
注射したオニヒトデは24時間ほどでほぼ100%死にますが、注射直後は注射していないものと見分けがつきません。そのため、注射をする際にナイフなどでからだに傷をつけて目印にするのも有効です。さらに、複数のダイバーが作業をする際にはサンゴ礁の上にローブを張って位置を明確にすると作業が容易に進むことがあります。
注射による駆除の利点
●陸に持ち帰る方法に比べて作業が迅速でしたがって経費がかからない。
●作業中のケガの発生率も他の方法と比べて低い。
●サンゴを傷つけない。取り上げ方式ですとどうしてもサンゴの影に潜むオニヒトデを引き出すときにサンゴを傷つけることがあります。サンゴは傷つくと粘液を分泌し、それが、さらにオニヒトデを誘引するという報告がありますが、注射だとそのような心配がありません。
注射による駆除の欠点
●連続注射セットと薬品を購入しなければならない。しかし、オイル射しや台所洗剤の瓶などのようなもので注入器を自作することも出来ます。
●注射されたオニヒトデはサンゴ礁上に放置されるため、条件によっては海岸に打ち上げられる可能性が皆無ではない。
メンテナンスの必要性
注射器の金属部分は錆びやすいので使用後は淡水で洗い、乾燥させ、必要に応じて機械油を差しておきます。