3-1. 駆除の体制
オニヒトデの駆除がおこなわれた地域では、大まかにいって次の3通りの方法が採られてきました。第一は、地元の漁業者などからのオニヒトデ買い上げ方式(駆除したオニヒトデを一匹いくらで買い取る方式)、第二は、ボランティアによる無債の駆除、第三は賃金を支払ってダイバーを雇用し駆除してもらうという方式です。
a. 買い上げ方式
沖縄では初期の頃は買い上げ方式をとることが多かったようです。しかし、この方法にはいくつかの問題があります。まず、買い上げ方式では、効率を高めるために駆除がオニヒトデの密度が高いところに集中する傾向があります。ヒトデの密度が低くなったりヒトデの集団が広域に散らばると駆除作業が経済的に非効率になり、たとえサンゴ礁にダメージを及ぼすほどのオニヒトデ集団がいたとしても駆除作業が中途半端に中断させられることがあります。つまり、過密になったオニヒトデを適当に間引くことで、結果としてオニヒトデ集団に延命効果をもたらすのではないかとの疑いもあります。
b. ボランティア
ボランティアによる駆除は人件費がかからないため経済的で有効な場合があります。しかし、多くのボランティアが経験不足で効率的な作業ができなかったり、長期的に継続して駆除に参加することが難しいという難点があります。また、事故発生率が高くなる可能性がある。
c. 専門の駆除ダイバー
小規模のサンゴ礁をオニヒトデからしっかりと守るには、能力のあるダイバーを雇用して作業に就かせるのがもっとも効率的なようです。問題は、オニヒトデがサンゴ礁に重大な損害を与える前に、迅速に充分な人数のダイバーを雇用することが困難な点です。また、費用もかかります。さらに、駆除作業を組織し、監督する責任者の存在が不可欠です。いずれにしても重要なことは、持続的に駆除事業を管理し、正確な記録をつけることにより、駆除の労力が偏ったり大きなオニヒトデ集団を見逃したりする事態をさけることです。