ではなぜ駆除の多くは失敗したのでしょうか。理由はいくつか挙げられます。まず、オニヒトデを一匹ずつ駆除する現在の方法が非効率で費用がかかりすぎること、オニヒトデ対発生が確認されたのち事業を開始するまでに時間がかかりすぎること、せっかくあるサンゴ礁を駆除してもオニヒトデが外から再び移入してくること、さらに、まだオニヒトデが多数残っていても予算がなくなれば駆除事業が終了してしまうことなどです。
これまでの経験から駆除事業を成功させるためには、次の何点かを考慮するのがよさそうです。
1) どうしても守りたいサンゴ礁を選び、現存の駆除方法でカバーできる現実的な駆除面積・規模を設定すること。守るべきサンゴ礁の面積は、供給できる資金や人数にもよりますが、数人のダイバーが毎月一回駆除することの出来る面積として何100ヘクタールもカパーしようとするのは現実的ではありません。
2) 駆除事業を行う場合は実施するのに十分な財源を確保する。
3) 大量発生が明らかになった場合、できるだけ早急に対処する。サンゴが食べ尽くされてから駆除しても意味ありません。
4) 駆除をはじめる前にそのサンゴ礁と周辺を調査し大量発生の規模を把握する。
5) 駆除の効果をモニターするために、定期的に駆除域の調査をおこなう。
6) 一旦駆除を行ったサンゴ礁に、初めのうちは4−5日おきに戻り、駆除し残したオニヒトデやそこに外部から進入して来たオニヒトデを片付ける。
7) オニヒトデの密度がそのサンゴ礁域が許容できる水準以下になるまで駆除事業を継続する必要がある。
3. 駆除の方法
現在、日本では、オニヒトデを殺すことを禁止する法律・条例は存在しません。したがって、オニヒトデの駆除を行う際にも特に許可を得る必要はありません。これは、海中公園や国定公園でも同様です。