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(vi) 駆除の効果は、オニヒトデの個体群密度を比較することにより行った。駆除の効果を測る指標としては、サンゴ被度の変化を追跡する方法もあるが、食餌の速度から想定して恐らくサンゴ被度の変化を統計学的に検出するのは困難と思われたため今回用いた方法を採った。個体群密度観測は、各地点で水深釣15mから5mの範囲で無作為にほぼ等深線に沿うように50m巻尺で測線を引き、その左右両側、各2m、計4m幅の中に出現するオニヒトデ個体数を記録した。観測は2−3人のダイバーがスキューバを用い、サンゴ群体の影に隠れている個休も見落とさないようにした。各地点につき最低5本の測線を引いた。

 

表1. 駆除および観測の日程および当初の予定

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●駆除;○観測;括弧内は当初の予定

 

(3) 結果

A、B域で行った駆除の結果は表2のようであった。第一日目の駆除では、一度に駆除したA域ではB域の3倍の駆除努力量を投入したのにもかかわらず、また、駆除前の個体群密度が同様であるにもかかわらず、駆除個体数はB域よりも少なかった。また、B域では、時間を置いた複数回の駆除で駆除努力量が同じであるにもかかわらず駆除個体数が大きく変動した。第2回目の駆除では、第1回目の駆除数(310)から73と大きく減少したが、第3回目では231と増大した。

一方、現存個体数の観測の結果、A、B両地域で第1回目の駆除の前後で有意に個体群密度が減少した(A域:ANOVA, F(3,20)=6.12, P<0.01;B域:ANOVA, F(3,22)=3.35, p<0.05, 表3)。その後密度は上昇したが、A、B域いずれにおいても駆除直後の値との有意差はなかった(Tukey Test, α=0.05)。Cの対象区では11月21日の観測で低い密度を示したが、それ以前の2回の観測と比較して有意差はなかった(ANOVA, F(2,15)=3.08, P>0.05)。この変動を図示すると図2のようになる。

 

 

 

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