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第3章 現地調査

 

背景と目的

1990年代の沖縄県におけるオニヒトデの分布状況に関しては恩納村(新垣1998)や石垣、西表島(八重山サンゴ礁保全協議会、1998)における報告がなされているが、広範囲にわたる調査は1993〜4年に実施(沖縄県企画開発部、1993、1994)されて以来行われていない。そこで現地調査における概略調査は、広域にわたるオニヒトデ個体群の分布及びサンゴ食害状況の把握を日的として実施した。聞き取り、文献調査結果等を参考に、過去から現在までのオニヒトデ大量発生地点を含むように調査地点を選定して沖縄島、宮古島、石垣島、西表島及び周辺離島で概略調査を実施した。

また、概略調査結果からオニヒトデ個体群の多く確認された地点において詳細調査を実施した。詳細調査は、1] オニヒトデ個体群の密度を定量化すること及び、個体サイズを測定することにより地理的に離れた地点における年級群の差異を此較、並びに2] 稚ヒトデ探索によるオニヒトデ大量発生予知手法の有効性を検討する事を目的として実施した。

 

3-1. 概略調査

 

1) 調査方法

沖縄島、宮古島、石垣島、西表島及び周辺離島に設置した85地点の調査地点において、3名の潜水調査員による10分間の目視観察により出現するオニヒトデ個体数及び食痕数を計数し、記録を行った。同時に調査地点における生サンゴ群集の被度を目視により判別し5段階(5%>、5〜25%、25〜50%、50〜75%、75%<)に区分して記録した。

 

2) 調査結果及び考察

図3-1.1〜5及び表3.1.1に調査結果を示す。各調査地点におけるオニヒトデの出現状況は、沖縄島西海岸域においては、伊江島北岸(調査地点番号:13)及び今帰仁村崎山(調査地点番号:15)以外のすべての調査地点において確認され、その中でも読谷村残波岬北岸、恩納村真栄田岬においては、それぞれ30個体(食痕数143)、14個体(食痕数116)と他の調査地点より高い出現であった。一方沖縄島東海岸海域においては、オニヒトデが出現した地点は13調査地点中9地点であり、その中で名護市天仁屋岬南岸(調査地点番号:24)が10個体(食痕数53)出現した以外は、いずれも1〜3個体の出現であった。また慶良間諸島海域(慶伊瀬島3島を含む)では渡嘉敷村神山島西岸(調査地点番号:34)、渡嘉敷村ナガンヌ島北岸(調査地点番号:36)においてそれぞれ25個体(食痕数140)、13個体(食痕数178)が出現した以外は、渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島共にこの2地点より低い出現個体数であった。

宮古島及び周辺離島に関しては、宮古島城辺町真謝漁港沖(調査地点看号:52)及び下地島南岸においてそれぞれ1個体確認された以外は、他の13調査地点においてオニヒトデは出現しなかった。

 

 

 

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