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変態直後の稚ヒトデは5本の腕を持ち、直径は約0.5mmでサンゴ藻を食べる。稚ヒトデは腕の数を増やしながら約10mmにまで成長すると、成体と同様の外見的特徴を備えるようになり、サンゴ食に変わり、成長速度も増加する(Yamaguchi 1974)。孵化後約2年で直径200mmほどまでに成長し、早い個体では産卵する。寿命は5から8年といわれている(Lucas 1984)。

 

v) 生理・生懸学―では、野外でどう生活しているのか

1] 生殖・産卵期

年間の温度変動が比較的大きな高緯度の海域では、南北半球とも春から夏にかけての1〜2ヶ月に複数回にわたり産卵する。Peason and Endean(1969*)やLucas(1973〉がGBR、Cheney(1974*)がGuam、Yamazato and Kiyan(1973)、Yokochi and Ogura(1987)やOkaji(1991*)らが沖縄のオニヒトデの産卵について報告している。西表島における繁殖期間は5月下旬から6月中旬の間(Yokochi & Ogura 1987)、沖縄本島での繁殖期ほ6〜7月(Yamazato & Kiyan 1973)と推定した。

Branham(1973*)は、オニヒトデが集団化するのは生殖のためでなく摂食のための集団移動であると、野外観察から推察している。Moran(1986)もまた、集団を形成して放精放卵をおこなうという報告はないとしている。Beach,Hanscomb and Ormond(1975)はオニヒトデの産卵に産卵誘発フェロモンが影響していると述べている。

横地(1995)は多くの報告をまとめ、水温の年格差が8℃前後ある海域では、どこでも水温が28℃くらいに上昇すると産卵が行われる。一方、Cheney(1974*)は海水温の年格差が3℃ほどのGuamでは、生殖腺の発達に明瞭な周期性がないと報告している。また、Pearse and Earnisse(1982*)はある種のヒトデで日長が産卵時期を規定している例を報告した。Lucas(1984)は12時間明期・12時間暗期で水温だけを自然条件と同一にした水槽中でも野外と同様の産卵が見られたことからオニヒトデの産卵は水温によって規定されるとした。横地(1995)は、日射による水温の急上昇や他個体からの化学物質の影響で産卵が誘発されるのではないかと結論した。

Lucas(1984)は飼育個体の観察から350mmになると老成化が始まるとしてたが、Yokochi and Ogura(1987)は40cmをこえる大型個体で生殖腺の発達を確認している。

オニヒトデの産卵数については、Conand(1983*)は、直径40cmの大型個体では6x107、直径25cmの小型個体では1x106粒としている。

 

2] ブランクトン幼生

オニヒトデのプランクトン幼生は他の良く見られるヒトデの幼生と似ていて区別が困難である(Yamaguchi 1973)。一般に、ヒトデ類の浮遊幼生はウニ類やクモヒトデ類とは異なり、体内に骨格系を持たないため、固定すると腕を引っ込めて捻るため、固定標本では同定が困難である。Hanna et al.(1988*)が開発したモノクロナル抗体が実用化すれば幼生の分布や密度も調査可能になろうが現在のところまだ実用化していない。

 

 

 

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