日本財団 図書館


<発表要約>

CO2の濃度が大気中で高まってくると太陽光による放射熱が地球に届きその一部が宇宙空間に戻る過程でCO2に吸収され地表に再放射されて温暖化が進む。CO2のような働きをする温室効果ガスは他にもあるがこれが圧倒的に多い。

大気中のCO2量はハワイのマウナ・ロアの数値では1965年約320ppm(1ppmは百万分の1の量)であったものが現在は冬は暖房のため燃料の使用増大で高くなるが平均して350〜360のレベルに達しており、このまま放置すれば2100年には大気の温度が2℃も上昇することが予測されている。

平均気温が2℃上昇するということは九州が台湾の緯度に移動したことと同じであって800km南下したことに相当し気候は大きく変ってマラリアがはびこり、お米もジャポニカ米は作付できずおいしくないインデカ米となるほか、海水面も上昇し海岸線や地形も大幅に変動することになると予測されている。

 

このような結果を惹起させないためCOP3が開催されわが国は2008〜2012年の間の平均で1990年比、温室効果ガスの6%の削減を約束しているがいまだ減少トレンドには入らず目標達成は困難な状況にある。

わが国の1990年の排出量レベルは11億21百万トン(炭素換算3億6百万トン)国民一人当り9.1トン(炭素換算約2.5トン)であったが1997年の数値は総量が12億30百万トン(9.5%の増)であり一人当りのそれも9.76トン(7.2%増)となっており、その主要原因は資料に示すように運輸部門すなわち車からの排出量が全体の約21%を占めるがこの部門が20%を超える増加で民生平均の13%増を大きく上回っていることに注目せざるを得ない。

私事で恐縮だがと前置きし、自身の結婚以来20数年、家庭におけるエネルギー使用量等の統計をとり、その推移を示すと当初は家庭におけるCO2排出量は年間約1.5トンでこの中での車によるものが41%だったが1998年の実績では約2トン強と33%増加であり車の占める割合も車を買い替えたこともあり44%に増加している。母親を引き取って便利なワゴン車にしたためだがやはり車対策は大切だと実感し、燃費のよい車を使用したいとの話もあって低公害車へと話を進めた。参加者の中にも2名の人が統計をとっていたが、統計により対策の的も絞り易いものであるとの付言もあった。

 

現在、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市の七都県市が共同で指定を行う低公害車は未だ達成していない窒素酸化物等の環境基準をクリアすることを第一義としているが二次的にはCO2排出減にも資すると考えられている。

指定の基準は国の次期排出ガス規制値から75%を低減した車を「超低排出ガスレベル車(ULEV:ウルトラローエミッションビークル)」、50%低減車を「低排出ガスレベル車(LEV)」、25%低減車を「移行期低排出レベル車(TLEV)」、のように3段階に分類しており、バスやディーゼル車にもそれぞれの基準を設定している。

 

これらの基準をクリアする車には次のような種類がありそれぞれの利点、課題が記載された下記の「主な低公害車の種類と特徴」を参照願いたい。これらの普及促進のための助成を今後PRも強化しながら地方税としての自動車取得税の減免、天然ガス充填所建設への低利融資などにより押し進めたい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION