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図7は、県職員に聞いた結果ですが、市民参加を推進するうえの問題点として、「ある事業に参加している市民の意見が多数意見とは限らない」という意見が68%に達しました。声をあげない大多数の市民の意見をどう反映するのかという問題です。だからこそ、意見を表明し、主体的に行動する市民となることが大切になってきます。「市民の意見は住民エゴであることが多い」という意見も33%ありました。環境問題に関して言えば、ゴミ処分場のように必要だけれど自分の近くにあるのは困る迷惑施設の建設問題の場合、どのように合意を図るのか、途方にくれる問題がでてきます。公共の利益、それこそ持続可能な社会のために、判断し行動できる市民になりたいと思います。また、「効率や迅速性が損なわれる」いう意見もありました。私はこれに関して言えば、成田問題をかかえる千葉だからこそ思うのですが、充分な時間をかけて合意形成を図ることが、一番の近道なのではないかと考えています。

 

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図7 市民参加を推進するうえでの問題点は?

 

私自身の市民参加の課題は、情報の公開・提供という一方的な情報の流れではなくて、双方向の情報の共有が大切ではないかということです。さらに、異なる立場の人々が、公共の利益・すなわち持続可能な社会のための、合意形成のプロセスに強い関心があります。

ちょっと強引なこじつけになるかもしれませんが、千葉会議のために、市民・企業・行政といった異なる主体間でなされた合意形成の過程が、これからの大切な財産になるのではないかと考えています。

 

4. おわりに

 

(1) 私が学んだことは

私がこの千葉会議から実にたくさんのことを教えてもらいました。

それは対等な学びというものです。これまで、どちらかというと、調査研究といった仕事が長く、学術的な知識を得ることが学びと考えていましたが、人として生きるということは、もっと広くて深い学びを必要とし、その学びは人との出会いで育まれるものだということです。

それから、人と人との暖かいつながりを実感しました。

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