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今日、市民参加が時代の流れになりまして、例えば市町村がつくる「環境基本計画」づくりに市民の意見を反映させようということで「○○市環境市民会議」とかいうものが組織されたりと、行政の意思決定の段階に市民参加が実現されるようになってきています。この市民の代表の選出について、問題が生じていますが、私はこの経験から希望者全員が十分な話し合いを行い、互選する方法がよいのではないかと思っています。

さて、その互選のための会で市民の方から「千葉会議は、市民・企業・行政が対等な立場で実行委員会をつくるということに魅力を感じている。本当に企業・行政から人がくるのか。もしこれができたら、すごい!」という厳しい励ましをいただきました。この時点では、企業と行政にはまだアタックしていませんでしたから、もう励みにしてといいましょうか、背中をおされるようにして、実行委員のお願いをすることになりました。

企業への実行意員のお願いは、どういった企業の方にお願いすればよいのか想像もつきませんでした。それで、私の仲間であるTEA-NETに相談しました。この当時、何か問題があるとTEA-NETのメンバーに話して、みんなの意見を参考にして、仕事を進めていました。

話はそれますが、参加体験型の環境教育プログラムを体験した人の感想に、「5人よれば、天才だ !」というものがありました。仕事は、自分一人の頭の中だけでつくりあげないで、まず誰彼となくつかまえて話してみる。その話の中で、問題点が明確になり、そして仕事の方向性が見えてきます。多くの人の意見を積みあげて、確実で先進的な仕事ができるようになるのだと学ぶことができました。

さらに話が横道にそれますが、当時はTEA-NETの仲間と環境学習に関する自主的な勉強会を開いていました。夜仕事が終わって、県庁近くにありました前の環境学習推進室に集まって、一本の缶ビールとほっかほっか弁当を食べながら、夜遅くまで話あっていました。この勉強会の後は、心がやすらぎ疲れがとれるので、いつも不思議な気分になったものです。これが仲間の力というものなのでしようか。

さて、本題に戻りますが、公平に企業を選ぶということの難しさ。しかも、私にはツテというものがありませんでした。「千葉といえば製鉄」。先ずお近くの川崎製鉄にお願いしようと実に単純に決めてから、電話帳をひもといて、勇気をふるって、受話器をにぎりしめたわけです。受付の方からお話をしていって、しかるべき環境部門の方につないでいただき、千葉会議の説明をして、実行委員の就任のお願いをしました。当時は、もう冷や汗をかき、なれない丁寧な言葉を駆使して、電話魔と化していました。企業の実行委員の方は、こんな選出方法で、こんなに大変な実行委員をやっているのかと、今お気づきになられたと思いますが、どうかお許しください。

行政の実行委員ですが、環境財団は県の財団法人で、千葉県・千葉市・市原市・君津市・袖ケ浦市から出資金を出してもらっています。財団の理事には、それらの自治体の首長になっていただいているわけですから、もう決まりといった感じでお願いできました。他の自治体からも実行委員会に加わっていただこうと、環境問題に積極的に取り組んでいる市町村に、これまた電話でお願いをしました。1995年は船橋市・佐倉市・松戸市・茂原市が実行委員を派遣してくださいました。これらの経験から、一歩踏みだせばどうにかなるということを学んだのです。扉をノックしたら、たいていは開けてくれるものです。

 

(5) 実行委員の構成

図1は市民・企業・行政それぞれの実行委員の経年変化をしめしたものです。市民と企業の委員が増えていき、行政の方が少なくなっています。

 

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図1 実行委員の変化

 

 

 

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