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方針として、1]地球的規模の視点を持つ、2]様々な主体のパートナーシップ、3]参加者一人ひとりのシンポジウムへの参加というものがあげられていました。

さて、私は担当者として、この方針を達成するためには、与えられた枠の中で、どのようなことができるのか、少し悩みました。パートナーシップという言葉さえきちんと理解していなかったのですから、まず英語辞書をひいてみました。そうしたら、パートナーの項では、ダンスのパートナーとか配偶者という言葉が書いてあって、そしてパートナーシップという欄には、提携・協力とかあって、なんだかわからなかったのです。

ただ、1992年に国連環境会議(地球サミット)で決定されたアジェンダ21には、「持続可能な開発のためには、全ての社会集団の参加と関与が必要である」とし、主な社会集団である市民団体・青年・女性・先住民・事業者・労働者・農民・科学者の役割が具体的に決められています。このような異なる主体間の協力関係をパートナーシップというのだろうと考えました。

では、この主体とはどこかという問題になりますが、そのころ「日本では、行政と企業の力が強く、もっと市民の公共的分野に占める割合を増やさなくてはいけない」という指摘がありました。「そうだ !」市民・企業・行政からなる実行委員会をつくって、その場で会議の開催にかかわることを合意形成のステップに基づいてやれば、会議の結果よりもむしろ、この開催に至るまでの経過が重要だと深く確信してしまったわけです。

 

(4) 市民、企業、行政から構成される実行委員会

3者からなる実行委員会の組織づくりにとりかかるわけですが、まず環境財団の決裁が必要になります。当時の幹部の方々は、このような試みに対して大変心配なさったことと思います。私は「エコマインド養成講座というものがあります。そこで合意形成のトレーニングを積んだすばらしい市民の方をたくさん知っています。千葉県が先進的に実施していた環境保全活動団体への活動資金の補助金助成事業があり、そのリストからも市民団体を把握できますから、大丈夫です。」と説明しました。

そして、今から考えますと新聞公募等をしないと市民代表というわけにはいかないかもしれませんが、354の市民団体と個人の方に案内をお送りしました。市民・企業・行政それぞれ10名程度の実行委員をお願いしようと考えていましたが、本当にうれしいことに、44人の方から実行委員をやってもいいよというお返事をいただきました。実は、こんなに多くの方からのお申し出があるとは考えていませんでしたので、この中からどのように10人を選べばいいのだろうと、新たな課題が出てきました。

私は、みんなに集まってもらって互選してもらえばいいと考え、お忙しい皆様にお集まりいただきました。この時に、これだけの方に集まっていただけたということは、千葉県の行なっている環境保全活動団体への補助金助成事業や「エコマインド養成講座」という事業を通して、行政と市民の間にパイプができ始めていたということ、それと市民の中にも、環境問題解決のために行政と対決するばかりではいけないということ、パートナーシップの必要性が認識されていたからだと考えています。

互選のための会は、皆様実行委員をしてくださるつもりですから、スムーズに運んだわけではありませんが、初めて会う参加者の皆様が心を割って話しあえる雰囲気をはじめにつくりました(アイスブレーキング)。地域性と男女のバランスを考えて、互選していただきました。この会の成果として、市民代表の実行委員をサポートする会である「県民会議(仮称)」というものができたのです。これが、あとでのべますが、「環境パートナーシップちば」につながる千葉県の環境保全活動団体ネットワークのはじまりだと考えています。

 

 

 

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