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I 基調講演

 

環境シンポジウム千葉会議1999

「持続可能な社会は市民社会 !?」環境シンポジウム千葉会議から学んだこと

小川かほる

 

1. はじめに

環境シンポジウム千葉会議1999の開催を心よりお祝いを申し上げます。実行委員の皆様、千葉県環境財団の皆様のこれまでのさまざまなご努力に敬意を表します。私にこのような基調講演という機会を与えてくださいましたこと、お礼申しあげます。

この千葉会議のスタートを事務局として関わってきました私にこれまでの総括をせよというお話をいただいたときに、すぐに引き受けましたのは5年目の開催ということもあり、ちょうど節目なのだろうと考えたからです。千葉会議は多くの人がつくりあげてきたものですから、これまでの千葉会議の経過をみなさんと振り返りつつ、私がみなさんの想いの代弁者としてお話させてもらおうと思いました。

初めてこの千葉会議にご参加なさった方、恐れ入りますが手を上げていただけませんか?初めての参加なのに、これまでの経過を振り返って、その苦労を共有したいという私の話にびっくりなさったかと思いますが、この千葉で進められてきた千葉会議のすばらしさを知っていただき、この千葉会議の灯を次に伝えていって欲しいとお願いしたいと思います。

私の講演は「持続可能な社会は市民社会!?」というタイトルです。市民社会にびっくりマークとクエスチョンマークをつけましたが、みなさんはいかがお考えでしょうか?

はじめに、市民・企業・行政のパートナーシップの推進を目指して、1995年から毎年開催されてきたこの千葉会議をふりかえりたいと思います。この会議は一体なんだったのでしよう。次に、昨年のこの千葉会議におきまして、参加者の皆様に、「持続可能な社会構築のための市民参加と行政の役割」というテーマでアンケートをお願いしました。TEA-NETといいます千葉県職員のグループがあり、私もメンバーの一人ですが、この仲間で行ないましたアンケートの結果の報告を含めて、市民社会について考えてみたいと思います。

私の話の中で、「人と人とのつながりのすばらしさ、楽しさ(幸福)」、そして「弱いところもあるけど、ひとりの力は大きいということ」、しかも「力を合わせるともっとすごいパワーがでる」ということを皆様にお伝えできたらと考えています。

千葉会議の本当のスタートはエコマインド養成講座にあるといえます。

今、私達の世界は、環境問題・平和問題・人権問題・南北問題・貧困問題・開発問題・人口問題・資源エネルギー問題などの地球的課題が複雑にからみあっていて、それらを解決できないと、われわれ人類の存続が危ないのです。現在では、環境教育は持続可能性のための教育であると定義されるようになってきています。

ここでは環境学習は、環境問題の解決にむけた活動のさまざまなレベルに積極的にかかわることのできる行動的な人間の育成を目指しているとします。そのような人間とは、自然にたいする豊かな感性を持ち、次のような価値・技能・態度を有する人と考えています。

 

○さまざまな事象を批判的にとらえ、主体的に考える「価値明確化」

○自らの考えを相手にきちんと伝える、相手の話をきちんと聞くことのできる「コミュニケーション能力」

○他者を理解できる「他者の理解・受容」

自尊感情:セルフエスティーム(まず自分に自信をもつ)が基本

○多様な価値観をもつ人々による、持続可能な社会を構築するための「合意形成」

 

 

 

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