よく見て、そして本を読んで、またよく観察し、そしてよく考える。ただそのことの繰り返しでした。そうしているうちに自分の薄っぺらな知識も少しは厚みも出てきたように思えました。そんな時にまた驚いたことは周りの班の御遺体です。そこには自分の班の御遺体とは全く違う御遺体が横たわっておられました。自分の班の御遺体では、そこにあるはずの筋肉が他の班では見つからないのです。しかしじっくり一つ一つ考えながら観察していくと、やはり同じところに同じ筋肉がついているのです。そしてさらに深く観察していくと一見同じに見えていた筋肉、神経、血管などは実に千差万別で、むしろ同じところを探すほうが難しいことも分かってきました。どこが同じでどこが違うのか、その判断根拠は何なのか。そんなことを考えるのは、何が病的で何が正常なのかを判断する能力なのだと思いました。次に、実習は、実にその人の性格が現われています。それはレポートにさらに顕著に出ていました。実習書を理解し、その知識が実際の作業を通して自分のものとなった時に初めて出来上がるものでした。総合的な問題解決能力がその出来を大きく左右するのだと思いました。最後に心の問題です。毎日の作業は大変で、レポートは思ったように進まないし、ストレスはたまり心に余裕がなくなってきます。そんな時にこそ相手を思いやる気持ちを持たなければならないのでしょう。