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ただ医者として生きる中で私はそういうことを常に忘れないでいたいと思います。そのことを解剖実習は再確認させてくれました。

たらたらと自分の思ったことだけを書いてきましたが、この解剖実習で得た知識や精神的なものを糧にしてこれからの学生生活を送り、献体して下さった方々に恥じないような医者になるよう努力していきたいと思います。

 

解剖学実習を終えて

岩出珠幾

 

二年生の後期に始まった解剖学実習も何とか無事に終了することができました。

一年半にわたる国際文化学部での単調な日々と異なり、一日一日が新しい発見と驚き、そして不安の連続でした。国際文化学部では、他の学部の学生と何ら変わることのない生活を送っていた私にとって、専門課程の最初に位置しているこの解剖学実習は、これから「医師」になっていくのであるという自覚を私の心の中に植え付けると同時に、「医師」というその目標に到達する為には絶対に不可欠な期間となりました。ようやく「医学生」としての第一歩を踏み出したような感じがします。特に、知識を吸収するという点で大きく変化したように感じられます。それまでは、与えられた知識をただ丸呑みするだけの受け身的な勉強態度であったのが、解剖学実習の開始と同時に自らの頭を使って知識を体得していくという状況に一変しました。

 

 

 

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