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気が遠くなりそうな小宇宙

若林貴志

 

解剖学実習を一通り終えて、一番思うのは、人体とはなんと精巧にできているのだろう、ということである。全ての筋肉には必ず支配神経があるし、血管は体のすみずみに血液を行きわたらせるように走っているし、神経を体の諸器官に働かせて、調和のとれた活動を人体に可能とさせるように走っている。一見ごちゃごちゃとしていて、適当に配置されているようにも見えるが、実は精巧な機械のようになっている(本当は精巧な機械こそが人体に似ているというべきであると思うが)。人間とほとんど同じように動けるロボットを作ろうとしても、あまりに緻密すぎて無理であろう。

このように構造の複雑な人体が、もともとはたったひとつの細胞で、それが発生段階でいろいろに分化してできたものであるというのは非常に不思議で、よくそんなことが起こるものだと感心してしまう。その不思議な人体をもっと詳しく見てみれば、今度は細胞が現れ、その中には細胞内小器官があり、それらは細かく見れば原子からできていて、と続いていく。

 

 

 

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