私達の班の遺体は八五歳で亡くなったおばあさんでしたが、「あんた達、ちゃんと勉強しなさいよ。」と目で語っているような気がしました。
私達は遺体に対して四人の班でした。長時間にわたる集中、それによる疲労は外科手術のようでもあり、メンバーのチームワークが重要でした。その点私達の班は他の班からもうらやまれる程上手にいきました。長時間にわたる実習では、長時間同じ人と過ごすので、解剖に支障が出ないように、互いのコミュニケーションをとることが大切だと思いました。解剖中には、「解剖とは?」、「医学とは?」「臓器移植」といった真剣で真面目な話もしました。以前、ある医師が、「解剖のパートナーは医師になってからも、人生を通しての友人になる」と言っていましたが、私も今はそうかもしれないと思います。
私達は、堀口教授、木田助教授をはじめ、解剖学教室の先生方には、解剖の知識はもちろん、学問とは何か、また人生の先輩として様々なことを習いました。本当に感謝しています。そんな先生方や、自らの体を提供して下さった方、またその方を大切に思っている方々に対しての感謝の気持を忘れずに、今後も勉強して立派な医師になりたいと思います。