日本財団 図書館


以上のまとめ:主要港、主要船舶会社間の競争は、主要港同士や、その他の港の間に、ある程度の平準化をもたらします。同時に、主要港(最大の港で世界トップランクのロッテルダム、アントワープ、ハンブルク)とその他の中小港の違いは、中長期的に西欧の港の特徴として残存していくものと思われます。

 

ばら荷と一般貨物の異なるシェア、コンテナ輸送等、港湾の基本的パターンとは別に、より重要なことがあります。北西欧州の港は、他の地域の港と同様、より詳細に見ればそれぞれが更に特殊な特徴を持っているという点です。例えば、ある港はロール・オン&ロール、フェリー(ゼーブルッヘ)、自動車輸送(ゲント、ブレーメン)、石油輸送関係(ロッテルダム、アントワープ)、特定のコンテナ貨物、例えば東アジア(ハンブルク)などを専門としています。

 

欧州から見て、港での接続網で最も重要な問題は大陸間の東西貿易(現在、最も重要)および南北貿易(やや増加しているが、東西ほど顕著ではない)におけるシェアの増加です。短期的には、相対的なアクセスの良し悪し(特に大型コンテナ船にとっての)が重要な問題です。この点ではロッテルダムがベストで、アントワープとハンブルクは海から海へのアクセスしやすさという物理的条件では重大な制限があります。しかし、これが両港にどのような影響を与えるか、将来のコンテナ輸送における両港のシェア予測については意見の相違があります(Baird、1996年;Baird、1997年)。

 

海外との接続、特に大陸間海上輸送貨物におけるシェアは、ハンブルク―ルアーブル圏の港の相対的地位を決める基本ではありますが、これらの港の競争では、後背地をいかに掌握するか、そのシェアがますます重要になってきています。北西欧州の港は、港とその後背地が切っても切れない関係にあることを明確に示しています。(主要)生産者は、消費者の具体的なニーズに合わせて生産を組織し、彼らにとって貨物を出発地から仕向地まで効率的に運ぶことがますます重要になります。このような生産と物流の一貫した連鎖では、物流がこの連鎖を最適化し、また海上輸送に加えて後背地の輸送・物流が必須条件となります(Klapwijk、1996年)。港は欧州の他の港との激しい競争を勝ち抜くために、後背地の輪送・物流を活発に組織しています。これまで海外との関係化や大陸間輸送に関わってきたのと同様、今度は後背地との関連網形成に携わっています。

 

現在、ハンブルクールアーブル圏の最も重要な港はそれぞれの「専属」地域(特定の港のシェアが大きい地域)を(欧州)後背地の中にかかえています。港はこれらの部分的に重複する地域でのシェアを伸ばし、できるだけ大きいシェアを獲得しようとしています。この競合では、複合形態輸送が重要な課題です。これは、トラック、鉄道、内陸水路のはしけによる速くて効率的な輸送と、輸送・物流の連鎖全体の中で最良のコスト効率を実現する輸送形態間積み換えへの投資を意味します。後背地の接続網への投資は、米国において東海岸の港・都市から西海岸の港・都市への2段積みコンテナ列車の運行の裏付けにもなっています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION